『微睡み』
「仄々(ほのぼの)」には、
ほんのりうっすらという意味があります。
ほのぼのと明ける明るさも
ほんのりと暮れていく日の入りも
春のぼんやりとした情景も
初めて見る雪に戸惑う愛し猫の瞳も
仄かにほのぼの揺れていました。
のどかな夢心地は
まるで春の日の微睡みをみせる。
うつらうつらと
転た寝しそうになる陽気です。
空が晴れて、
若草色の草原のような
椅子の上で、
身も心も蕩けたような
冬眠中の蛙の目を借りた猫が一匹。
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いままで見たことのない、
白くフワフワと舞い降りる雪の華…
ガラス越しには分からない
その冷たい雪に
いつか見たことがある懐かしさを
感じることがあれば…
それは、今でない世界の
ここではない時間を生きた
遙か遠い、遠い記憶。
春のまどろみを表す「蛙の目借時」という言葉は、江戸時代の書物「睡醒笑」という笑い話集にでてきます。
「春眠暁を覚えず。処々啼鳥を訊く」春先に眠気を催すのは、春先に忙しい蛙が人間の目を借りるからなのだそうです。
とすれば、一年中眠いムーは誰の目を借りたのでしょうか?(笑)
冬眠中の、蛙でしょうか?