「小説」に必要なもの
小説(文章)という表現媒体は素晴らしい。
古くは紙と鉛筆、現在なら何かしらの文字が入力できるツールさえあれば、直ぐに誰でも創作することが可能だからだ。
これが漫画ならそうはいかない。当然絵を描くスキルは必要だし、道具だってある程度は揃えなければならない。
自分の頭に思い浮かんだストーリーや妄想?を「皆に見て欲しい」という欲求を叶える為には、小説を書くことが一番手っ取り早いだろう。
僕はもう既に世間では「おっさん」と呼ばれる年齢だ。それなりに長い年月を生きてきて、それなりの数の本を読んできた。
その理由は、こんなに安価で手軽でしかも楽しい娯楽はないからだ。
本を読む理由は人それぞれだろう。
「知識欲を満たしたい」
「自分の能力を高めたい」などなど。
でも僕はただ単に「面白い」から読書に勤しんできた。 幸いなのか不幸なのか、未だに読書以上の娯楽を見つけることができずにいる。
だから冒頭で述べた、「小説は誰でも書ける」ということは非常に有難いことだ。
悲しいことに、僕には「面白い話」を思い描く能力がない。その代わりに他者が思いついた素晴らしい話を読ませて頂いている。
もし言葉(文章)という表現方法がなければ、こんなに楽しい時間を過ごすことはできなかっただろう。
さて少し前置きが長くなったが、ここからが本題だ。
このサイトは「小説家になろう」なので、小説についての話になる。
小説の読み方は、「これが正しい」というものはないと思う。それこそ読み手の数だけ正解があるだろう。
しかし、基本的にはストーリーラインを追いながら、文章を読み進めていく。そして漫画やアニメと異なり映像はない。
だからその足りない情報を読者は自分の想像力で補う。「登場人物の容姿」や「その場面の情景」。
読者は自分の頭の中で、イメージを浮かべながら読み進めていくのだ。何を手掛かりに?
作者が記した文章が読者のただ一つの指針である。
当然、書き手は「どうすれば読者に伝わるだろう」と頭を振り絞って書いているだろう。どれだけ素晴らしいストーリーが頭の中にあろうが、それを他者にそのまま正確に伝えることは難しい。テレパシーでも使えない限りは。
だからこそ、小説を書こうと志す方々には、所謂「文章力」を軽く見て欲しくない。
このサイトに投稿している人は、ラノベやアニメに親しんでいる割合が多いように見受けられる。
これらはイラストや動画がイメージの手助けをしてくれる。
しかし、面白いラノベで文章がお粗末なものがあるだろうか(あるっちゃあるかもしれないけど)?
面白いラノベは文章がしっかりしている。その上でイラストが底上げしてくれる。イラストありきではないのだ。
どんなにストーリーやアイディアが素晴らしくても、それを読者に伝える文章が稚拙では宝の持ち腐れになってしまう。
何故同じような設定の中で、「ソード○ート・オンライン」が飛び抜けて面白く感じるのか?
確かにイラストレーターの力もあるだろう。しかし、読者を引き込む文章力がなければ、これだけ多くの人に受け入れられただろうか。
どうすれば文章力が身に付くか。それが分かれば誰も苦労はしない。
でもこれだけは言えると思う。
以下の二点に気が回らない人の文章は上手くはならないだろう。
○誤字・脱字が多い
○文法を間違えている(助詞の使い方から間違えている作品が多い)
これが改善されないということは、「他者に自分の考えを理解して欲しい」という意欲に欠けるということだ。
このサイトに投稿するということは、「他者に読んで欲しい」と思ってのことだろう。
伝わるツールが言葉しかない場で、その言葉のルールすら正しく使えない。
バスケで例えるなら、ドリブルもパスもシュートもろくに出来ないのに、「試合で活躍したい」と言っているようなものだ(初期の桜○花道みたいですな)。
基本が出来て、初めて応用が効く。これは何事にも通じる真理だろう。
このサイトに目を通すようになってまだ日は浅いが、多数の作品を読ませて頂いた。しかし、最後まで読みきれた作品はそれほど多くはない。
何故なら誤字・脱字が多かったり、文法が間違えていたりする作品は読むのが辛くなってしまうからだ。
最近もある書籍化決定の作品(名前は伏せるが)に目を通したが、あまりの誤字・脱字と文法の誤りの多さに読むことを断念してしまった。
アイディアは素晴らしいと思ったのだが、文章の稚拙さに目をつむってまで、読みたいとは思えなかった。
偉そうな物言いをしているなとの自覚はある。
誰でも投稿が出来る上に、無料で閲覧出来るサイトにそんなに多くの物を求めても仕方がないという考え方もあるだろう。
それでも、曲がりなりにも「小説」投稿サイトだ。
自分の考えた作品を他者に読んで欲しいと思うからこそ、一所懸命に文章を綴るのだろう。
「こんなに面白い筈なのに、何故読んでもらえないのか?」
その原因の大部分は、文章の稚拙さに因るものだと愚考する。
「別に読んでもらいたい訳ではない」という方はこんな意見はスルーすればよい。
しかし、「読んで欲しい」と思うならば、投稿する前に十分な推敲を重ねる努力は必要だと思う。
読者から誤字・脱字や文法のミスを指摘されて、何も感じないようでは、沢山の人々に読んでもらえるような文章など書けるようにはならないだろう。
本当に多数の読者に読んでもらいたいのならば、アイディアよりもまず文章を磨くことが大事だ。
どんなに素晴らしいストーリーでもアイディアでも、それを伝える手段は小説という媒体では言葉しかない、ということを念頭に置いて執筆すれば、上達も速いのではないかと思う。
偉そうな文章ですみません。
より多くの作者の方々が、「自分の作品」を面白いと思ってもらえることを願っています。
不快に感じる方も多いかも。
こんな考え方もあるんだと思ってくれたら幸いです。