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お稲荷物

きつねに

(……あなたの……)


(あなたの……頭の中に直接…語りかけています……)


(あ……あぶ……)




『あぶ……?』


 何なんだろう。お昼寝してまどろんだ頭に聞こえた気がした何か。とりあえず私は夕方の商店街へ買い物に出掛けた。




 常連となった豆腐屋さんは、やけにざわざわしていた。何だか偉いお得意様が来るとかで、バンバン油揚げを作ってる。そうだ、油揚げ買わなきゃ……と、私は何故か財布から無意識にお金を出していた。




 コンビニで、新しいホットスナックの香りが私を誘う。小腹を満たせ~。どーれーにーしーよーうかな~。



(……ごーる……)



ん……?



(……ごーるでんなチキンを買いなさい……)



 何だか聞こえた気がした後に、私はドーナッツと珈琲に、ごーるでんなお肉を購入していた。自動ドアが開く時に、まるでそれが正解だという様に、店内BGMがロッ○ーのテーマになった。えいどりあん




 帰り道の途中、朱い鳥居の列をくぐり抜け、家路へ。ここ通ると近道なのよね。そして、何だか誰かが耳元で喋っている様な感じで声がする。



(買って来た物を捧げるのです)



 いやです。これ私の素敵おやつ。



(持って来なさい! その美味しいの!)



 耳元で大声出さないで! 思わず辺りを見回しても誰もいない。そして私の目の前にはお稲荷さんの神社の入口。まさか……




 一応、御手水で手を清め、道の端を歩いて境内へ。本堂……の近くのベンチに座ってる女の人が、ヒラヒラと手を振っている。



「はよう! はよう!」



 ベンチをぱしぱし、耳がぱたぱた、九つもあるしっぽが、ぽふんぽふん。あー……まさか。



「わ・ら・わの為に、ご苦労! さぁ………はよう!」



 すごい美人が頭の上の耳をパタンパタンさせて、和服でヨダレ垂らしてるってすごい【びじゅある】この方かー、私をさっきから呼び続けてたのは……。




 コンビニの袋から取り出したごーるでんなお肉も、珈琲やドーナッツも、もさもさ食べられた。口と手が脂でべたべたなお狐様。傾国の美貌が台無しだ。コンビニの紙ナプキンで拭いたげる。境内でお肉はいいのかなと思ってたら、昔はよく気にせず狩りをしてたもんだと返ってくる。



「むふー。馳走になったのう~! わらわは満足じゃ」



 美人さんが笑うと迫力ある。私と違ってモテモテだろうなぁ。と、鼻を動かすと私の鞄を指差す狐美人様。



「お主……一番大事な物を……持っておるな…」



 そうか、ばれましたか。私は観念して油揚げの包みを出す。ここまで来たらもう全部献上奉納おういえー。



「甘い美味い」



 物凄く丁寧に食べる様は、急に威厳と高貴なかほり。私まで何だか居住まいを正す。




 腹が減ると、こう雰囲気が壊れる。色々助かった……と、お守り袋を頂いた。霊験あらかただから、家で開ける様にと言われ帰宅していそいそと開ける。


 萌え狐娘のストラップが入っていた。可愛いわらわの【あ・か・し】と達筆な筆文字で書かれている。微妙に使うのが躊躇われる逸品だった……。

大体私のブログじゃないの?と言われそうな感じです。お狐様以外は、実話がかなり元になっております。

急に油揚げが食べたくなったのはきっとこの影響…?

油揚げ美味しかったです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お稲荷さんに翻弄される《私》の描写が個人的にとても好きで面白いなぁと思いました。 サクッと読めるのに内容は面白く印象に残る、よい作品だと思います。
[良い点] やっぱり狐にはあぶらあげやね [気になる点] せっかく出てきた九尾をもっとモフモフしたい! もっともふもふを触る描写がほしい! [一言] 狐にあぶらあげは王道!
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