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だいきゅうわ

弁当の報酬を買いにアニメショップに連行されている一ノ瀬克樹です。

こんな所、同級生に見られたら死ぬ。

そんな俺の気分なんざ放置して、ルンルンと楽しそうな足取りで俺の隣を歩くアホ。

コイツは年頃の癖に兄貴と一緒に出掛ける事に抵抗がないらしい。

高校生辺りだと家族と外に出るの嫌なもんじゃないのか?

最近の若い子は気にしないのか?

親戚の中に妹が反抗期で困ってるって奴がいたな…。

あ、コイツがアホだから気にならないのか。

そうだな。反抗期だなんて難しい複雑な感情とは程遠いよな。

単細胞は凄いな。


店に到着し、並べられている本を流し見しながら、妹がご所望の品を持って来るのを待つ。

俺にはこの店に買う物が見当たらない。

当たり前だが。

俺としては、知り合いに遭遇する前にさっさと帰りたい。

「おまたせ♬」

遅いわ。探すのにどんだけ掛かって…

ニコニコ満面の笑みで掲げてくる両手にご所望の品、なんだろうが…

「おい…?」

「う?」

首傾げてんじゃねぇよ。

「な・ん・で!三枚もあるんだよ!?しかも一つは何枚組だ?”キャラソンコンプリートアルバム”ぅ?」

確かに買ってやるとは言ったが、聞いてないぞ?!

「にゅ?欲しいキャラソンのアルバムが出るってゆったよ?」

あぁ。俺もそう聞いたよ。

「一枚。なんてゆってないよ?」

何処の一休さんだ!お前わ!!

一枚だと早合点したのは俺だが!

誤解してるの気付いてて言わなかっただろう?!

「発売ラッシュだた。助かったぁ〜。おにーちゃんありまとぉ♬」

ぐっ!

そうだった…。

コイツは好きなアニメがシーズン毎に代わるんじゃない。

好きなモノは好きなモノで増えて行くタイプだ。

普段は発売月が違ったり、ヲタク友達と分担して買ってたりするみたいだが。

今回持って来たのは、今放送中の男子向けラノベがオリジナルのアニメ、少年漫画がオリジナルのアニメ、数年前に流行ったが、ここ数年新刊も出なかったが、ここに来て発売ラッシュ。

好きなモノの発売日が被りまくったのだろう。

女友達とは、趣味が異なるジャンルでいつもの手が使えなかったんだと。

そこで、俺の弁当依頼はグッドタイミングだったと言う訳か…。

「蓮…」

「あぅぅ…ダメぇ?」

オロオロとションボリしている涙目上目遣いを辞めろ。

身長差が20センチ以上あるから仕方が無いとは言え。

会社にいる同じくらいの身長の女性と比べても体格の所為か遥かに小さく見える。

なんだ、この滲み出る小動物感。

「…ダメとは言わないから、先に言え」

「!!あい!!」

敬礼!

片腕でアルバム抱え込んでるけどな。

そのままレジに連行され、大事に胸に抱えて帰るらしい。

「にゅふふふ〜♬ありまと!さっすが社会人!おっとな〜!」

へいへい。煽ててもこれ以上は出ねぇよ。

向かう時よりも数段跳ねている足取りで、どれだけご機嫌か分かるってもんだ。

「夕飯、何か食ってから帰るか?」

「隊長!ラーメンが食べたい!」

あー。ラーメン良いな。

家では中々食えない。

母さん達に飯食ってから帰る旨を連絡しておく。

今のコイツの頭の中はアルバムとラーメンの事しかないからな。

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