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だいごわ

日曜日。

昼過ぎまでダラダラ寝ていた俺とは違い、若者は朝から元気だ。

若いっていいな。

俺はもう疲れたよ。

明日からまた仕事だと思うと、余計疲れる。

ベッドから出たくねぇぇええ。

だが、そんな俺の願いなど、アイツには関係なかった。

「かつお!カラオケ行こ〜」

「友達と行け」

俺は寝る。

お前は俺と違って友達多いだろ。

「友達は家遠いもん。カラオケは近所で良いし」

あー。お前、頭悪くて近所の高校に入れなかったもんな。

そもそも成績面で遠過ぎて、受験すらさせて貰ってない。

「中学の友達と行けばいいだろ。近所だし」

「中学の友達にヲタクいないから、好きなの歌えない!」

お前、ヲタク以外とも友達なの?!

類友で固まらないのか?

お前の世代はそうなの?

それともお前だけがそうなの?

まぁ、お前ってヲタク臭みたいなのないしな。

大人しそう。地味。静か。

うん。どれも当てはまらないわ。

「なんか歌いたい気分。だから行こう。決定。用意してー!」

ええぃ!この俺様めっ!

誰だ?!コイツを甘やかしたのは!?

「おっきな声出すと気持ちーよ?ストレス発散出来るよ?寝てるより楽しーよ?」

無視無視。

ストレスと無縁なお前にストレス発散が必要とは思わん!

「おにーちゃぁ〜ん!だめぇ?」

うぐっ!

こんな時ばっかり呼び方変えやがって…!

「…分かった。支度するから、お前もしとけ」

「いえっさぁ〜♬」

ルンルンと準備をしに部屋に戻る後ろ姿を見送りながら、また負けた…と思いつつ、妹に甘えられてちょっとテンションが上がっちゃう俺がダメなんだろうか…。


ボイスチェンジを駆使して、オリジナルを見事にモノマネをしてオカマ風に声がひっくり返る所から、低音で轟かせるという小技まで組み込まれた歌に俺の腹筋が崩壊した。

コイツとカラオケに行って思うのは、俺が知らないと思う歌は歌わない。

知らない歌は、聞いてるとこっちまで癒される楽しそうな曲くらいしか歌わない。

俺は妹相手に会社の連中と行く気遣いをする必要もなく、好きな歌を入れる。

知らない筈なのに、リズムに乗ってくれるんで気まずさもない。

自分のついでに俺の分のドリンクも持って来てくれるし。

楽だぁ〜。

妹の言ってた通り、デカイ声を出して。

くだらない事で笑って。

ギャーギャーと気を使う事もなく好きにアレンジしてみたり騒いだり。

真剣に採点で競争してみたり。

肩にズッシリとのし掛かっていた疲れは、血流が良くなったせいか、スッキリと無くなった。

それもあって。

ついつい奢る俺。

「おお!太っ腹!!」

と過剰に騒ぐこのアホ。

学生の妹とカラオケ行って、社会人の兄が割り勘すると本気で思ってるこのアホは。

「スッキリした顔してる♬」

ルンルンとした今にも踊り出しそうな足取りで帰途に着いた。


俺の為かよ…。

俺はこのアホな妹に勝てる気がしない。

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