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江戸大乱 ~蓬莱事件控~  作者: 桃源郷
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第5話

見てくださる方も、どうやら増えつつある模様。

ありがたくもあり、怖くもあり。


……ぽろりもあるよ(え!?

「世話になった。では、屋敷に戻らせていただく」

 薫は身支度を整えると、よもぎに一礼する。

「待ちなさいよ。せっかちな嬢ちゃんだねえ」

 よもぎのその物言いに、文字どおり薫の白い頬が少々膨れた。

「嬢ちゃんなどと呼ぶな! それに、屋敷が心配なのだ」

「心配は分かりますがね。お前さんはかどわかされかけたんですよ」

 薫は、はっとしたように目を見開いた。

「まあ、歯を磨いて朝めしを食べなさい。話はその後です」

 よもぎは、薫へ房楊枝や磨き粉の入った桶と新しい手ぬぐいを渡すと、井戸に案内した。

 

 喉を通らない様子ながらも、何とか薫が食事を終えると、よもぎは早速話を切り出す。

「屋敷ですがね、やはり死人は出ておりませんでしたよ」

 左手を胸乳にあてて、薫は目に見えてほっとしたようだ。だが。

「内藤主膳殿は腕にケガ、あと数名ケガを負いましたがね」

 それを聞いた薫の顔色が白く変わる。

「で、では、やはり早く戻らねば」

「戻ってどうするんです」

 よもぎはのんびりとキセルを取りだすと、煙草を詰める。

「し、しかし」

「このまま帰れば、また襲われるかもしれませんよ」

 薫の両手が膝の上で握りしめられた。

「今度こそ死ぬかもしれない。それでも行くんですか?」

 そうは言うものの、よもぎは今後すぐに屋敷が襲われることは無いと踏んでいる。

 普通、襲われた直後は警備が厳重になる。そこを突こうと思えば、当然大掛かりになってしまう。

 賊は、わざわざ事前に潜入させた女に一服盛らせて、たった四人で侵入してきたのだ。

 これは、あまり派手に行えば都合が悪いのは賊も一緒、ということが伺える。それを思えば、危険が大きすぎるだろう。

 逆に役人が帰った直後。まだ警備が整わぬ今朝だけは有り得たかもしれないが、よもぎを警戒して動こうとはするまい。

 まあ賊の隠れ家は分かっているのだ。単なる物盗りではない以上、しばらく様子を見ていればいい。


「自分の身は自分で守れる!」

 よもぎの思念を破るように、薫が力んで言い放った。

「守れなかったでしょ?」

 よもぎは淡々と責めてみた。うっとうめき、動きの止まる薫。顔が一瞬で赤く染まったのが面白い。なかなか表情豊かな娘だ。

「ゆ、油断していただけだ!」

「油断ですか」

 よもぎはすぐには言葉を継がずに、キセルに火を付けた。ひと吸いすると、薄紫の煙がほのかに甘く香る。

 そのまま薫の方を見ると、彼女の肩がびくりと震えた。よもぎ自身も気づかなかったが、怒気でも洩れていたらしい。

 それに気づいた己の口元が歪むのが分かる。他のヒトから見たら、苦笑にでも見えるのだろうか。

 チラリと隣を見る。すると、無言で控える余之助が、笑って目を細めていた。まるで、若いですねえ旦那、と言ってるように。

 余之助だけに分かるように、軽く肩をすくめて見せると、余之助はうなずき返してきた。よもぎが冷静になった事を悟ったらしい。

「斬り合いで油断なんかしたら、死ぬんですよ、普通。お前さんは運が良かったねえ」

 腕を組み、少しだけ冷酷な芝居気を込めて話してみる。

 冷たい空気と言葉に、ますます薫の顔が白くなった。


 しかし、薫は歯をくいしばると、一歩下がって土下座してきた。

「それでも、それでもお願い申す!」

 これにはよもぎも驚き、感心した。どうにも自尊心だけ高い、高位旗本の子弟にありがちな子供、と思っていたら、何の戸惑いもなく土下座さえしてみせる。よほど教育がいいらしい。

(こいつは、少しだけ付きあってやろうかねえ)

 突然よもぎの中に、この事件に対する興味が沸きあがってきた。いや、この娘に対する興味と言った方が正しいだろう。

 反応が無いのを不思議にでも思ったのか、薫は少し顔を上げて、うわ目使いに漆黒の瞳をこちらに向けている。少しだけ首を傾けているその姿は、こちらに疑いを持たぬ子猫のようにも見えて、妙な保護欲を掻き立てる。


「あ、あのぉ……」

 ふと気が付くと、薫が頬を薄赤く染めていた。

「おや?」

「おや、じゃねーですよ、旦那」

 いつのまにか、自分の右手が薫の頭をなでている。

「ああ、こいつは済まないねえ」

 ちょっと焦っている自分を発見して、意識してゆっくりと手を離してみる。余之助の、舐めるような何とも生暖かい視線が痛い。

 手を離した瞬間、薫の表情が一瞬だけ、何だか残念なような、淋しいような、戸惑ったものになったように見えた。

 そう言えば、最初に出逢った時の、何にでも噛みつく子虎のような雰囲気が、今だけは消えている。

 いや、まあ気のせいだろうが。

(がらにもなく、少々動揺していたしねえ)

 よもぎは首を振り、思考の闇を斬り払った。


「仕方ないですねえ」

 だが、知らず言葉にため息が混じる。

「だ、旦那?」

 余之助が、苦酢っぱいものを口一杯頬張ってしまい仰天したような顔をして、よもぎを見つめた。

 無理もない。よもぎの思考を知り尽くしている余之助からすれば、これは予想外だろう。

 そんな余之助を尻目に見ながら、よもぎは薫に向き直る。

「あー嬢ちゃん、ちょいと聞きたいんですが」

「その嬢ちゃんというのは止めてくれぬか」

 その言葉は受け流す。

「普段から、その若衆姿なんですか?」

「そうだ。この方が動きやすいのでな」

 あたりまえのように薫は答える。ひと言つけ加えているのは、良く聞かれる質問だということだろう。

 確かに、剣術をしていて襲われかねない立場を自覚しているなら、至極合理的な判断と言える。まあ、単に趣味の部分もあるかもしれないが。

 よもぎは余之助に向き直ると、顎に手をあて、ちょっと考えながら言った。

「余之助、お紺を呼んできておくれ」

「姐さんをですかぃ?」

「ああ、この時間なら家にいるだろうよ」


 お紺は浄瑠璃方の師匠をしている狐族の女性だ。以前は女盗賊として鳴らしていたが、ある事件でよもぎに救われ、今ではよもぎの手伝いまでしている。

「承知しやした」

 そのまま出て行こうとする余之助に、よもぎは声を掛けた。

「ああ、そのまま見張ってきておくれ」

「へい」

 二人以外には意味の通じない会話で締めくくると、余之助は今度こそ部屋を出ていった。

 そこで薫を見ると、彼女は顔中に分からないという言葉を貼りつけたような表情を浮かべている。

 よもぎは、沸きあがるいたずら心のためについつい口元を綻ばせながら言う。

「さて嬢ちゃん、不本意かもしれないが内藤屋敷に行くためだ、承知してもらいますよ」

「いや、だから嬢ちゃんというのは」

「ま、いいさね、ついて来なさいな」

「わかった」

 よもぎは薫を促すと、北側にある部屋に向かった。薫も大人しく着いてくる。


 そのまま三部屋ほど行きすぎると、廊下に面したふすまを開けた。

 そこには、壁一面が桐箪笥に埋め尽くされた、八畳敷きの部屋が広がる。

 軽く鼻を刺す樟脳の香りが、ここが衣装部屋であることを主張している。

 よもぎは、戸惑う薫を置いて、箪笥をいくつか開けた。

 そこから娘物の地味目な着物を何種類か広げると、着物を挟んで薫と斜向かいに座った。

「さて、まずは好きな柄をお選びなさいな」

「これは?」

「見ての通り町衆の着物です。で、どれが好みですかね」

 薫は少々悩んで、薄紺色の、小さなかすり模様が付いた着物を選び出した。

「ふうん、地味なのを選ぶねえ。まあ、その方が目立たなくて良いんですが」

「これをどうするんだ?」

「お前さんが着るんですよ」

「はあっ!?」

 薫の目が見開かれた。思考が飛んでいるのだろう、完全に呆けているようだ。


「殿様? 若い娘をからかうもんじゃありませんよ」

 その時、艶やかで蛍惑的な、少々笑いを含んだほの低い女の声が背後から響いた。

「おや、ずい分早かったね、お紺」

 お紺と呼ばれた女性は、部屋の手前、廊下の辺りで、半分開けた襖に手を掛けたまま、柔らかく正座していた。

 本当の歳は知らないが、見た目には二十五、六。年増の艶と落ち着きが漂う。

 軽くまとめた輝く金色の髪からは、ふさりとした柔らかそうな毛に包まれた大きな耳が覗いている。

 首をちょっと傾けて、よもぎを見つめている細く切れ長の目は、静かな光をたたえて悪戯っぽく笑っていた。

「ええ、ちょいと近くまで来ていたものですから。ばったりと余之さんに逢いましてね」


 そこで、お紺の視線が薫へ向いた。

「この子が余之さんの言っていた?」

 視線を受けて居心地が悪いのか、薫が少々身じろぎをした。

「余の字が何を言ったかは知らないがね」

 お紺はふわり、と立ちあがり座敷に入ってくる。

 背は五尺半ほどだ。すらりと高く、柳のようにたおやかに見えた。黒地に小鶴の上品な着物が、女らしさを強調している。

 そのまま音も立てず数歩歩き、膝を静かに払って裾をまとめ、薫に並んで柔らかく座り込む。軽く巻いた風が、並べた着物の幅を越えてよもぎの鋭い鼻まで、彼女のまとう涼やかな香の薫りを届けた。


「殿様が毛並みの良い子猫を拾ってきたと言ってましたよ」

 お紺は左手の甲を口元に宛てて、軽やかに笑って見せた。

「違いねえ」

 よもぎは、片頬を吊り上げて笑って見せた。

「ずい分お気に入りだともね」

 よもぎは、自分の頬が引きつるのを感じた。

 お紺の笑いが高くなる。

「殿サマも連れないおヒトだネェ、あたしには見向きもしないのにサァ」

「……あンの馬鹿余の字が」

 笑いながら、節を廻して謡うようなお紺の声に、よもぎはそう返すしかない。さすがに謡の師匠だけあって綺麗過ぎる声が、逆にこちらを責めているようにも聞こえる。

「あ、あの」

 完全に置いていかれた薫は、ちらちらとこちらを伺っている。

「ああ、そうだったねえ、着替えなきゃいけないんだ」

 よもぎは、改めて気づいたように言う。そのままお紺の正面に向き直った。

「いつまでも笑ってないで、この子の着替えを手伝っておあげ」

「はいはい」

 そのままお紺は、とまどう薫の手を取り、襖を開けて隣の部屋へと移動した。

 よもぎは、それを見届けると、腕を組んで軽く目をつむり、頭の中でこれからの動きを確認する。


(こ、困るっ! そのようなものを私が着るわけにはいかぬ!)

(何言ってんですか、今さら)

(いや、しかし)

(ほら、大人しくしましょうね)

(脱がすなッ! や、やめっ!)

(あらま、さらしなんて取っちゃいましょうね)

(ああっ! こすれる!)

(あらー、うぶ毛ひとつ無いわ、うふふ)

(あ、あン! な、なにをする!)

 瞑想は、突然響く焦りまくった薫と、もー楽しくてしょうがない、というお紺の声に破られる。

「お紺の奴、遊んでいやがるな」

 畳ごと部屋をひっくり返したんじゃないかと思うような音がどたばたと響く中、よもぎの頭の中に浮かんだはずの戦略は、すっかり桃色に染め上げられていた。

「これじゃあ余之助を笑えないねえ」

 頭に浮かんだ妄想図に、思わず目を開くとちょっと苦笑する。


 その時、ドシンという大きな音とともに、襖が半ば開かれる。

「あ」

 三人の声が重なった。一瞬、薫とお紺が硬直したのが分かる。

 そこには、抜けるように真っ白な肌身をほとんど晒した薫が、這いずるような姿勢で上半身を反らしている。お紺は着物を手に持ち、薫に被い被さるように小紋の着物を着せようとしていた。

 薫の胸元には、緩んださらしから覗く、春の芽生えのように柔らかく膨らみ始めた白い双丘が、荒い呼吸にあわせて小さく揺れており、その頂には桜色のつぼみが可愛らしく色づいていた。

 さすがによもぎも唖然としたままで、全く反応出来なかった。

「きゃあああああッ!?」

 硬直が解けた薫は、わたわたと身体を支えていた両手で胸を抱えるように隠そうとした。しかし、支えをなくした身体は無情にもそのままうつぶせで海老反りに潰れる。

「か、か、薫ちゃんッ、殿さま! あっち向いて!」

 お紺は、慌てて背中から着物を掛け、後ろから抱えるように着せる。そのまま両手を伸ばし、薫の背中越しに襖を閉めた。そのぱたりと甲高い音に、やっとよもぎは我に帰る。

「……いや、まいったねえ」

 痛いほど静まり返った座敷で、よもぎも頭を掻きながらそうつぶやくのが精一杯だった。


 居心地の悪くなった座敷を出て、庭に面した廊下に座り込むと、よもぎはひとつ深呼吸する。緑の匂いが鼻の奥に安らぎを与え、動揺を抑えてくれた。

 さすがにここまでは、女二人の姦しい音が響かないようだ。

 しばらく庭を見つめていると、後ろに気配がした。

「殿様」

「終わったかい」

 振り向くと、そこには顔に引きつった笑みを浮かべたお紺と、見知らぬ町娘が立っていた。

 娘はうつ向き気味だったが、頬を桃色に染め、目は軽く潤んでいるように見える。

 つややかな黒髪は軽く島田に結っており、止め具の赤い櫛が、紺色の大人しい着物と合間って非常に映えている。

 ふと、よもぎの脳裏に、先ほどの事故が蘇ってきた。少々顔が熱くなるが、頬毛のおかげて見咎められる事はないだろう。

「あー、さっきは済まなかったねえ」

 ひとつ謝っておく。事故とは言え、まあ、なんと言うか、見てしまった訳だし。

 薫の少々赤らんだ顔が、爆発したように真っ赤に染まった。


「……いや、誤って襖を開けたのは私だから、もう、いい」

 横を向いて視線を逸らし、ぽそりとつぶやくように薫が言う。どうやら、その話題から離れたいらしい。よもぎも気を取り直して、別の事を聞くことにする。

「しかし、こいつはまた化けたもんですねえ」

 本気で感心する。あのりりしい若衆姿も、衣装を変えるとこうなってしまうのか。軽く唇に紅も挿しているようだ。先ほどの艶姿が影響していないとは言わないが。

「はッ! そ、そうだ岡田どの! このような話は聞いておらんぞ!」

 今更気付いたように、薫がわめきだす。

「はて、どんな話をですか? 着替えてもらう話はしましたけど」

「そうではないッ! このおなごのことだッ」

 どうやら、頬が赤かったのは怒りのためもあるらしい。

「こ、このおなごは、よ、よりにもよって! わ、わ、わたしのっ!」

「胸を触っただけですよ」

 被せるようにお紺が続ける。口元に手の甲を宛て、笑いを押し殺している。

「反応がいちいちかわいいから、つい、ねぇ」

 つい、じゃないー、と、薫が叫ぶが、よもぎはとりあえず無視しておいた。

「お、お陰でびっくりして、逃げようと襖を開けてしまったではないかッ!」

「そうねぇ、殿さまに生まれたまんまの姿、見られちゃったものねぇ」

「あぅ」

 お紺の絶妙な突っ込みにより、またもやぽんっと音が出るように顔を赤く染めた。

 とりあえず、その反応に困ったよもぎは、頭を後ろ手で掻く位しか出来なかった。


「薫ちゃん、本当にごめんなさいね」

 急にお紺が、薫へ深々と頭を下げた。

「薫ちゃんが、そんなに見られたのが恥ずかしかっただなんて、どう償ったらいいかしら」

 しおらしいお紺に、薫の怒りも幾分落ち着く。

「そ、そうだ、分かればいいんだ」

「そうね、この償いは、薫ちゃんと同じ目に遭うしか。あたしも殿さまにすべてを見られることにするわ」

「ちょっと待て」

 思わずよもぎも突っ込む。

「えー、殿さまダメですか?」

「それは勘弁してくれ」

 さすがに、そんなことをされては堪らない。こう、なにか色々と。


 深くため息を付くと、よもぎはお紺に諭す。

「どうしたんだいお紺、いつものお前さんらしくないはしゃぎ振りじゃないか」

 普段は肝が座り、落ち着きすぎるほど落ち着いた女なのに、薫に関わる時だけ異様に騒がしい。

「ああ、そのことですか。それは、まるで薫ちゃんが、妹みたいな気になっちまいましたからですかねぇ」

 お紺が笑みを浮かべて、よもぎに向き直る。その顔は、懐かしさと悲しさに彩られた、複雑な笑みに見えた。

 それを見たよもぎは、自然と苦い顔になってしまう。

「妹、ねえ」

「ええ、あたしは妹と一緒に居られませんでしたから、なんか嬉しくって、構っちゃうんです」

「や、やめっ!」

 今度は後ろから、薫の身体を抱えるように両腕を絡めるお紺。薫は面白いほど反応する。

 お紺の方が頭半分ほど背が高いため、ちょうど被さっているように見える。


「あ、そうそう、殿さま?」

 お紺が、逃げようとする薫を捕まえながら、よもぎに声を掛けた。

「何だい?」

「この子ったら、尻尾どころか無駄毛ひとつ無いんですよ。一体何なんででしょうねえ」

「ほぉ、無駄毛ひとつ、ねえ」

 期待通りだ。さすがはお紺、冗談めかしても抜け目が無い。

「なっ、何の話しをしているーっ!」

 薫は、自分の恥ずかしい話をしていると思ったのか、益々顔を赤くして手を振りまわす。

 よもぎも、ここらが潮時と判断し、矛先をお紺に向ける。

「お紺、そのくらいにしておきなさいな。傍から見ていると、まるでお前さんにそんな趣味があるようだよ」

「誰かさんが、いつまでも構ってくれませんから。丁度いいから、そっちに逝こうかしら。ねえ、殿さま?」

 ぴしゃりと反撃されたよもぎは、苦笑が引きつるのを感じると、ひとつ咳払いをした。

 わざとらしく、妙に上品な高笑いをするお紺。

「あー、それじゃあ、出かけても良いかね。お紺、駕籠をひとつ呼んでおくれ」

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