◆彼は器用な人です
なんか予約投稿はネ申。
私が精神的に大ダメージを食らった次の日。
「お、おはよっ!…琴吹さんっ」
なんか……ギャル娘含むクラスメート全員に若干、敬い=恐れの目線で挨拶されました。
「お、おはよう――…」
机に行くまでに31人-1人全員の視線を痛いほど感じながら席に着く。
じろっ、と元凶を睨みつける。元凶はぺろっ、と舌を出して私の視線に自分の視線を絡めつける。
なんなんだよ、私はただ目立たず穏やかに生きていたいんだ。波乱とかいらないから。
「はぁ~」
私が溜息をつくだけで怯えた目をする彼ら。
……お前(佐伯)なにした?
H.Rが始まるまで「やれば出来る世界征服!」を読んで、ひたすら先生が入ってくることを願った。
「お!今日は皆座っているんだな~偉いぞ!」
熊男。又の名を山田。ありがとう。
私は初めて担任に感謝した。
昼休み。屋上+俺様。
「444っほい@mf@……地獄だった」
私が立てば肩を竦めるクラスメート。
私が視線を感じてそちらを見ると慌てて目を逸らすクラスメート。
―――だぁぁ!何なんだよ!
「はは、そりゃよかった」
黒い笑いでこちらを見つめる佐伯。
「ほんとに貴方何しに来てるんですか?」
「お前に会うため…?」
―――っ!
は?それは、その、あの……。
ふっ、と息だけ吐いて、
「冗談は顔だけにしろや、どーせ私の前でだけ俺様になれるからとかそこらへんの理由だろーが…こ、告白、なわけ……ないない!なにピンクってんの我っ!」
「お~い?戻ってこい!」
がたがたと肩をゆすぶられて現実に戻る。
「……。この俺様に告られてんだぞ?少しは嬉しそうにしろや」
――もう一回……。
「だーかーらー好き」
――もう一回……。
「しつこくね?」
――最後にもう、一回。
「だから、好……何?」
「あの今スッゴくいいネタが思い浮かんだのっ!だからちょっと待って下さいな」
そう。その時、私の脳内はネタで溢れ返っていました。
「……だぁぁっ、俺のマジ告白をぉぉ……」
そう唸るとノートに向かってマッハ越える勢いで思い付いたネタを書きまくっていた私の手からシャープペンシルを奪うと、
“俺の話を聞け!”
と達筆な字ですこと。さすが、優等生。って待て……ネタが消えた……。カチン、と来た私は
“どっか行け!”
と怒りに任せて書いてしまったのです。後の事など考えずに…。
「……」
「……」
沈黙。なんと重苦しい事でしょう。
「お、お、お前…この俺様に告白されたのにも関わらず……っ」
「ええ、ええ、されましたよ!だけど何処に根拠があるっていうんですか?からかわれてたら私、笑い者ですよ!一族の!」
「どんな家系だ!そんなに臆病だから日陰にしか容れないんだ!」
「そうですょ。貴方みたいに猪突猛進の猪みたいな真似は出来ませんーだ!止まれなくなってそのうち頭ぶつけて木っ端みじんですよっ」
「なんだとこの日陰女!」
口喧嘩 ―――終了―――
「はぁっ、な、中々やりますねっ」
「っ、この俺様に、敵う奴などいないといないと思っていたが……っ」
「…………では、さようなら」
「え!?ちょっと待…………て」
佐伯が言葉を発した時にはもう彼女の姿は扉の向こうだったとか……。