最後に笑ったのは誰?
静寂は、恐怖の始まりだった――。
真夏の旧校舎、軽い気持ちで始めた肝試し。
暗闇の奥から忍び寄る「ありえない音」と、逃げ場のない絶望。
あの日、僕たちが足を踏み入れたのは、決して立ち入ってはいけない場所でした。
どうか明かりを消して、静寂の中でお楽しみください。
最後に笑うのは、誰か。
蝉時雨がぴたりと止んだ。
真夏の旧校舎、僕と健太は肝試しの最中だった。無音の廊下に、不意にカチャリと金属音が響く。誰かのハサミを鳴らすような音が、暗闇の奥から急接近してくる。
「逃げろ!」
僕らは背を向け走ったが、背後で耳を劈く叫び声と、肉が裂けるグチャという音が聞こえた。健太の足音が消えた。僕は何かに足を取られて転倒し、暗闇の中に倒れ込む。
足元から這い上がってきた影が、僕の耳元に顔を近づけた。そいつの口元が裂け、ヒタ、ヒタと温かい血が首筋に滴り落ちる。
「見ーつけた」
暗闇を埋め尽くしたのは、人間のものとは思えない狂気じみた高笑いだった。
最後に笑ったのは、僕らじゃない。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
静まり返る夏の夜、どこかからハサミの音が聞こえてきそうな恐怖をお届けできていれば幸いです。軽い気持ちで足を踏み入れた肝試しが、一瞬で引き返せない絶望へと変わる恐ろしさを描きました。
あなたの耳元で今落ちたその滴は……本当にただの汗でしょうか?
また次の物語でお会いしましょう




