【蛇足的夜噺】 〜落ちた私 《河合美咲》
今まで引きずってた問題に突然カタがついた感じがする。
私ってホント、今まで男を見る目が無かった。あんな危険な男と付き合ってしまった浅はか。
盗聴器まで仕掛けていたなんてホント許せない!! 直接の被害がない以上警察には相手にされないんでしょう? なら、マンションの防犯カメラでこの部屋への侵入の証拠を集めて突きつけて、弁護士を通して警告しておくわ。
出来るだけ早く依頼しよう。
あー、今夜アイツが悪夢を見ますように祈っておこうっと (´▽`人)
*
私はね、狙ったら必ず落とす。先はどうなるかは分からなくても。
よくよく考えたら、河原崎って私に理想的な人だったことに気づいた。
これまで誰一人逃したことなど無かったのに、和食処で匂わせても河原崎にフラれたのはショックだった。
成り行きで私のマンションまで来ることになって、チョコレート事件のせいで私たちの関係は深まった。
ここまで来たら外見的な既成事実だけでも作ってしまいたい。沙衣には自らの意思で今夜ここに留まってもらわなければ、私は動物病院の西田さんに先を越されてしまう恐れがあるの。
だって向こうは仕事で毎日会ってるんだよ? 河原崎と私は特別な過去を共有しているとは言えとっても分が悪いのは否めない。
ちょっとした賭けだったけど、夜半になって帰ろうとした沙衣を引き止めることに成功!
明日の朝の朝食のことまで持ち出せばほら、あなたはコンビニに出かけても、そのまま気を変えて帰ってしまうことはないでょ?
いくら私が27歳の大人だからって、付き合い始めてその日にキス以上のことをするつもりは無い。私はそんなに軽くはないの。
私のシャワー中に侵入されたら困るし、彼がコンビニに行ってる間にさっさと済ませた。
さて、これで沙衣がシャワーを浴びているうちにソファで寝た振りしちゃえばOK。私のボディガードは三葉よ。
あー・・・今日はすごく疲れたな。あれもこれもまさかの展開で・・・
沙衣がいてくれて・・良かっ・・・
─────ハッ!! Σ(゜Д゜)
明るい!! 朝になってるッ!! 私、本気で寝落ちしてたッ!!
しかもいつの間にか寝室の自分のベッドの上にいる。まさか・・・
「・・・・・ヨシ」
なんにもされてない事を確認・・・
───(´・ω・`)? キッチンから音がする・・・
ダイニングリビングに面する戸を開くと、キッチンには沙衣がいた!
「あ、おはよう美咲。勝手にキッチン使ってごめん。起きて来ないからベーグルサンド作ったよ。昨日買い物中にレシピ読んだんだ。ついでにカリカリベーコンサラダとプレーンオムレツも出来たよ。洗い物すぐに終わるから、一緒に食べよう」
わっ! ウソでしょう? テーブルの上に乗せられた朝食は、おしゃれなカフェ並みだ!!
こんなにきれいなプレーンオムレツどうやって作ったのッ!
エッ? エッ? 私と同じフライパン使ってるんだよね???
「ごめんなさい、私寝坊しちゃって・・・沙衣はもう休んで」
慌ててカウンター向こうのキッチンに入って沙衣の背中を押した。
あ、三葉も既に沙衣からご飯もらったのね。餌入れに食べた跡が残ってる。
「後は私が洗うから。飲み物は私が作るからあっちで座ってて・・」
「あ、そう? じゃあ三葉はこっちにおいで」
「にゃ~♡」
沙衣の足元に絡まりつきながらついて行く三葉。
私の猫ちゃんはいつの間にこんなに手懐けられてしまったの?
恐るべし能力者、河原崎沙衣。
そして私もすっかり餌付けされてしまったようね・・・
決めたッ!!
私、もうぜーったい沙衣を放さないわ!




