未来の約束
本作タイトル変えてみました ( ´ー`)φ
『朝起きたら』 → 『思春期未来志向』
河原崎は俯いて黙り込んでる。
その横顔を見つめる私。
「教えて。河原崎と私の仲じゃん」
「・・・河合と俺の仲って?」
怪訝な顔をちらりと向けた。
「みけかわと河原崎は私の命の恩人だよ? これは永遠に変わらない。河原崎と私は大人になっても縁が切れる気がしないんだよね」
「だから言えって?」
「うん。前は河原崎の話を真に受けてなかった事は謝る。ねえ? みけかわと意思疎通が出来てたんでしょ? 河原崎、猫語がわかるんじゃないの・・・?」
河原崎は私から目を逸らし、雨粒がガラス張りのウインドウにぶつかった歪んだ景色を見つめてる。
ほんの少し会わない間に、その横顔は確実に大人びてたって思う。
「・・・ごめん。今の俺はもう言えない。ここで河合に言ったら俺の夢が消えそうな気がする・・・」
「河原崎の夢って? もしかして、猫のスーパー獣医になるってあれ?」
コクリと小さく頷いた。
なんか河原崎らしい。これって答えを言ってるようなものに思える。けど、私は河原崎から直接秘密を打ち明けられたいの。
「私は特別な立場だと思うけど? それに私は絶対誰にも言わないよ」
「・・・少なくとも夢を叶えるまで誰にも言いたくない。だからってその先も言えるかどうかわかんない」
河原崎は未来を見てる。目標を持って。その決意が固いって私にはわかる。
私同様、みけかわの死を悔やんでる。だから猫を救う獣医になるって決心したんだよね?
────ならいいよ。河原崎が私に言えるようになるまで待つ。
「・・・じゃあ、こうゆうのはどう? 河原崎が自分の夢を叶えた頃に私と会う。その時、河原崎は私に秘密を打ち明ける、けれどその時の状況により延長も可とする」
「そんなの少なくとも15年以上先のことじゃん。その頃には俺たち縁が切れてるかもだし、河合だって俺の事は忘れてるんじゃね? それでもいいんなら承諾する」
「何言ってんの? 私がみけかわと河原崎のこと、一生忘れるわけないでしょ? 河原崎こそ私のこと忘れるんじゃないの?」
「そ、そんなことあるわけないじゃん!」
「なら決まりね! 『私はそれまで待つ。河原崎はその時は私に真実を打ち明けるかどうか考え直す』ってことでいい?」
「・・・それまで俺を追及しないって約束してくれよ」
「・・・わかった。ほんとうは嫌だけど」
あ! ガラス張りの向こう、雨が上がって雲の合間から薄日が差して来た。今日は1日雨のはずだったのに。天気予報もあてにならないね。
未来がどうなるかなんて、確実になんて、誰にもわからないってことだ。
街が、植え込みの樹々が、水滴でキラキラして見える。
みんな忙しげにどこに向かってるの? 人も車も忙しなく動いてる街の躍動。
「あっ、河合見て。虹だ!」
河原崎が空を指さした。
空に架かる誰も触れられない大きなプリズムの橋。
「わあ、綺麗。久々に見た。河原崎のお祝いの日にこれは縁起が良さそう」
周りの席は、食べながらスマホを見たりお喋りしてて、目の前で起きてる美しい自然のイリュージョンに気がついてないみたい。
同じ時間に同じ空間にいても、人によって見えてるものが違うのが人生らしい。
視野は広い方が良さそう。
「なんかさ、俺きっと大人になっても今日の日のこと忘れないって、これ見て確信した」
「うん、私もだよ。だって男の子と二人でデートもどきしたの初めてだし」
「・・・ッ! こ、これデートッッ!!」 Σ (,,゜Д゜)
「やだなぁ、もどきだってばー」
フフ、焦ってる河原崎がカワイイ (^m^)
なんだかあんなに真剣に死に怯えていた私が嘘みたい。みけかわと河原崎のお陰だよ。ありがとうね。
今は未来が楽しみでしかないよ。
「なぁ、ホントのとこ俺たち将来はどうなってると思う・・・?」
「さあね? まだ私たちの先は白くて、これからの自分次第で決まって行くんじゃない?」
自分の可能性を探る旅、みたいな?
「でもさ、そーんな遠い先なんて、お互いの居場所が行方不明になってるかもじゃん? それに俺の夢が叶うとも限らないし」
「あーっ! 言いたくなくて隠れても無駄よ? 私は河原崎のこと絶対に探し出すからね!」
「んー・・・その頃はたぶん俺ら二十代半ばくらいか。河合も俺も今とは全然変わってんのかな?」
私はどんな大人になっているんだろう? その時は、河原崎に会うのに恥じない自分でいたいと思う。
「じゃあ指切りしよ?」
「あ・・・うん」
差し出された男子の指と、自分の指の違いにちょっとドキッとする。
絡み合う2つの小指。
私たち二人の、十何年後の未来の約束。
きっと果たされるって信じてる─────
*
「あ、そう言えば河原崎、吉川さんの天文学部の観察会行ったの? 誘われてたじゃん」
「・・・急に何だよ? 行くわけないだろ? ギプスしてたのに屋上に誘われたって困るって」
「ふうん?」
ちょっと密かにニヤけてしまった私は性格悪い?




