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思春期未来志向  作者: メイズ
謎解きの少年少女
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おばあちゃんの猫

 武蔵おじさんがママと近況を伝えあって、明日の法事の段取りを聞いた後、まだ日が高いうちにママの案内で、みけかわのお骨を埋葬出来る場所を見せて貰った。


 これは私のミッションだからね。きっちり遂行しないと。河原崎にも報告しなきゃだし。



「美咲、ここよ」


 ママがヤブって言ってたから、身構えてたけど、想像してたのと全然違う。


 ここには何か神聖な空気があるよ。人の立ち入りを躊躇させる自然美。



「わぁ・・・! こんな場所があったなんて今まで知らなかった・・・」


「そうね。そう言えば美咲は母屋の裏側の奥の方には来る機会が無かったわね。ここも季節で様子が全然変わるのよ」



 なんて涼しげな美しい風景なの! ここだけ時が止まってるみたい。


 まっすぐ伸びた木々の間の下草には、ギザギザ小さな葉の集まって三角を為した涼しげなシダ植物の葉。


 下一面に揃った葉がすごく綺麗で神秘的。


「ママ、あれは何?」


 シュッと葉を伸ばし、折り重なるシダの葉の中に足元埋もれて、所々緑がかった大きな石がポコンって1つ出てる。


「あれは墓石よ。表面は滑らかなの。下草を刈らないとちょっと近づけないわね。あの石は固いけど、クギで文字を刻めるのよ。私も子どもの時に刻んだわ。飼ってた自慢のカブトムシが死んじゃった時に」


「フフ・・・ママが飼ってたのって虫なんだ。なんて名前を刻んだの?」


「そうよ虫。カブトムシの名前は「無敵(ムテキ)。ほんとに勝負は負け知らずで強かったのよ。あの石のどこかに名前が書いてあるはずよ。本当は犬や猫も飼いたかったのに、おばあちゃんが絶対ダメだって言うから〜」


「えーっ! どうしてダメなの? ここならうちと違っていくらでも飼えそうなのに」


「んー、おばあちゃんはね、お別れが(つら)いらしいのよ。おばあちゃんは子どもの時に猫を飼ってたみたいなんだけど、その猫が死んでしまった時、悲し過ぎて自分も死にそうになったって言うの。そんな目に遭うのはもう二度と嫌だって言って飼って貰えなかったわ」


「・・・そうだったの。確かにね、愛情深くて優しいおばあちゃんだったもんね。その気持ちは分かるけど、でも飼わなければ喜びも得られないのにね。ママ、残念だったね・・・」


「んー、そうね。けどお世話も大変だしね? ママは自分が自立して自由になった時は、もう飼いたいとは思わなくなっていたわ」


「ふーん? そうなの? 私は自立したら絶対に、みけかわみたいなかわいい猫を飼うよ!」


「あら? 美咲がお世話するなら今から家で飼ってもいいのよ? うちは飼ってもいいマンションだもの」


「ありがとう。けど、いい。今はみけかわの想い出があるからいらない」



 石を見てみたいけど、今はシダの葉がすごくて近寄れない。


「あしたは無理だから明後日早起きして草刈りね。お天気は大丈夫そうよ」


「うん、そうするね」




 滞在2日目の、おばあちゃんの初盆の法事も無事終わった。


 3日目は早起きして草刈りだよ。今日はいよいよ私がみけかわの御弔いだ。



 私の事情を知った、おばあちゃんの内孫であるこの家の次男の高校生、海斗お兄さん「かっちゃん」が手伝ってくれることになった。


 かっちゃんのお兄さんの大学生のりっちゃんは、法事が済んだら一人暮らしの東京にとんぼ返り。あっちのほうが楽しいらしい。あんなとこよりこっちのほうが断然ステキなとこだと私は思うけど。



 ────朝5時。



 もう外はとっくに明るくなっている。


 完全全身防備の私たち。虫に刺されないようにだよ。まだ涼しい早朝で良かったわ。



 私は、借りたスカーフ付きの麦わら帽子に身を包み、みけかわの遺骨と鎌とスコップ、名前を刻む電動ニードルをもって出動!! 


 かっちゃんは用意周到で、私たちの飲み物も用意してくれてた。


「ああ、ここは相変わらずだな。どうせすぐにすぐ元に戻っちゃうし、あの石の周辺だけ刈ればいいんじゃない? 先ずはそこまでの道を作んないとな。美咲、二人でチャッチャと刈っちまおう。10分もあれば終わる」


「うん、手伝ってくれてありがとね」


 手際のよいかっちゃんのお陰で、あれよあれよという間に草刈りは終わった。けもの道みたいな小道が出来て墓石まで繋がった。


「あー、草刈りって結構腰に来るね」


 苔むした墓石の前で、痛みだした腰をトントン伸ばしながら汗を拭い、ペットボトルのお茶を一口飲んだ。


「よし、僕がもって来たこのタワシで石を磨こう! 二人でやればあっという間だ」


「うん! さすがかっちゃん。相変わらず頼りになるお兄ちゃんだよね」


 チョロチョロ流れる雪解け水で出来た小さな水路の水を、かっちゃんが持って来た折りたたみの小さいバケツで汲んで、苔むした墓石をたわしで磨く。



 しばし無言で二人でゴシゴシゴシゴシ・・・



「美咲、見て! これが俺が刻んだやつ。金魚の絵を彫ったんだった。小学生ん時のだ。懐かしいな」


 かっちゃんが指さして嬉しそうに笑った。


「うん、金魚だってわかるよ。わあ、あちこちにランダムになんか書いてあるね。文字も朽ちないでちゃんと残ってるんだね」


「ここは樹冠で雨風から護られているからじゃない? すごい昔っからのも残ってるよ、ほら、この辺なんかは日付が明治だぞ? この石、いつからあるんだろ? 僕もわからん」


「わぁー、三橋家の生き物歴史だね。あっ、ここにママが書いたのミッケ。『サイキョウカブトムシ ミツハシムテキ ココニネムル サキコ』だって!


 『最強カブトムシ 三橋無敵 ここに眠る 咲子』だね!


 ママにも子ども時代があったんだよねー。当たり前だけど。


「叔母さん、そんな下の方に書いたのか〜。それは気づかなかったなぁ」


 あっちにもこっちにもなんか書いてあるね。読みづらいのもあるけど。



 ────アッ!! これはおばあちゃんの名前じゃないの?


 『サヨノアイビョウ ミツハシミツハシ ヤスラカ二ココニニネムル』って・・


 ( ゜д゜ ) えっと・・・『小夜の愛猫 三橋ミツハシ 安らかにここに眠る』・・・だよね?



 ────Σ( ゜д゜ ) アッ! 待ってッッ!! 三橋ミツハシって???



「・・・ねえ、かっちゃん、これは? おばあちゃんが書いたのかな?」


「これ? んー・・・、そうじゃない? 子どもの頃に猫飼ってたって言ってたし。うちめちゃくちゃ古いじゃん? 住んでる家を保存建築物に指定されたら厄介だし、屋根こそ茅葺きを瓦にさっさと吹き替えたみたいだけど、家の造りはほぼ昔のまんまじゃん? だから父さんも僕らも猫は飼ったことないけど、猫が齧った跡みたいなのが今も所々残ってるよ」



 三橋ミツハシ。



 ────ミツハシさん。


 河原崎が言ってたみけかわの名前と一緒だ。


 どういうことなの???


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眠りにつく前に
魔女狩りに遭う運命を察知した少女の運命は・・・
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