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アルカイズの動向

「アルカイズ様はディアナ様の思っていた通り、気配を消し、御三方の動向を窺うつもりでした。ですが、キス様に部屋を出るところを見られただけでなく、ディアナ様とメアリ様との会話を聞き、探索に変更しました」


「ディアナ様の言った通りだったのですね。でも……あの時、廊下には貴女達の姿は見えませんでしたよ。気配を消す魔法だったとしても、注視していれば、見えるという事でしたが」


 ディアナの予想は正しく、アルカイズは彼女達の動向を探るつもりでいたようだ。だが、メアリ達の会話を盗み聞きした事で、作戦を変更したらしい。


「はい。その時は主の部屋前の客室の中にいました。キス様が一階に行き、ディアナ様が部屋から出てくる前です。先に奥の客室からにするつもりだったようですが、ディアナ様の動きに気付いたようなので」


 アルカイズの部屋は階段一番手前にある。その前の客室ならば、メアリ達の声が聞こえてもおかしくはない。ディアナは聞こえるように話していたのだから。


「アイツは鍵を使う部屋じゃなく、無難に客室を調べるのを選んだわけね。そこで何かあったわけ?」


 キスは無難と言葉にしたが、実際は違っている。十が殺されたのは客室。下手をすれば、アルカイズや三も殺されていたかもしれない。


「そこでは何も問題はありませんでした。部屋から荷物を運んだ時のままです」


「魔導具はその部屋になかったのですか?」


「ありませんでした。主も確認しています」


 十が死んだ部屋には魔導具が置いてあったのだが、アルカイズが隠れた客室にはなかったようだ。三もそれに関して、嘘をつく必要はない。調べれば分かる事だ。


「ディアナ様とメアリ様が移動された後、私だけが一度部屋を出ました。廊下に誰も出てこないのを確認した後、主を呼びに部屋へ戻りました」


 ディアナとメアリが衣装室に入った直後に、三が廊下に出たという事か。そこで探知魔法をアルカイズが使ったのかは不明。彼女も主の魔法回数を無闇に言わないだろう。


「私達が衣装室にいた時、貴女は気配を消した状態で廊下にいたのですね。その時、怪しい人物を見掛けませんでしたか? 侵入者がいる可能性が高く、その人物が十を殺したと考えているのです」


 十がいる客室に忍び込む時や、もしくは出る場面。どの状況でも良いので、侵入者の姿を確認出来れば、メアリ達もそれ前提が動く事が可能となる。


「残念ですが……誰も見ていません。ですが、主も侵入者の事を口にしていました。それも高位な魔法使いではないかと」


 三は廊下で侵入者の姿を見ていない。という事は、それよりも前に客室に隠れていたのか。人形を奪った直後と考えるのが妥当か。


「ちょっと待って。何でアルカイズが侵入者の事を疑うのよ。ディアナやメアリなら分かるけど、アルカイズはその場面を見てないのよね」


 キスの言うように、普通ならアルカイズが侵入者の姿を目撃しない限りは、存在を疑う事はないはず。何がアルカイズにそう思わせたのか。

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