変化
「ディアナ様の従者が死んだ事や侵入者の存在を知ったところで、何の変化もありません。私達が主を疑った時でさえ、怒りの色になっていません。冷静の色でした」
メアリが零の感情の色は冷静。主が疑われても、動揺する色にはならなかったらしい。
「ちゃんと魔法は使ったのよね」
「それは私も確認しました。メアリの瞳に僅かながらに魔力を感じたので、間違いないでしょう。彼女が嘘をつく理由がありません。もしかしたら、彼女の魔法をゴールド=ゴールから教えられ、対策を取った。魔法の効果を打ち消す魔導具もあるらしいですから」
ディアナはメアリが感視を使用した事を確認した。それはメアリが彼女の前で隠れて使用するのは難しくなったという事だ。
『可能性はあるな。ディアナの魔法を知っているのなら、メアリの魔法もと考えるのはおかしくはない。だが、彼女は一度は成功されている。従者の部屋にそれらしき魔導具はなかったはずだ』
零が一度も従者の部屋に出てない事は、キスと七が確認している。今日の朝で成功しているのなら、何処で零は魔導具を身に着けたのかになるのだが……
「いえ……魔法を打ち消されてません。それだったら、冷静なのかも分からないはずです。それに色が一度も変化してないとは言ってません。二回……彼女の感情が変化しました」
「それを先に言いなさいよ!! アイツは何処で嘘を吐いたわけ?」
「キスは落ち着きなさい。何処で感情の変化があったのですか? 躊躇いを見せたのは、意外なところだったのでしょ」
侵入者や主の事で感情の変化はなかったのだ。零は何処でどんな感情になったのか。
「私達からの言葉の返答には変化がありませんでした。彼女から出た言葉。私達の中に侵入者を招き入れた者がいる。侵入者と間違って、私達で争いを起こさないようと忠告した時です」
「……その二つなわけ?」
「はい。彼女は嘘ではなく、愉悦、快楽の色に変わりました」
メアリが見たのは、零がその発言をして、楽しんでいた事だ。彼女はメアリ達が争いを事を望んでいるのだろうか。
「何が火種を生むつもりはないよ。そのつもりだったんじゃない。主の命令じゃなく、アイツが勝手にやった事なんじゃないの?」
「それに私達は乗らなかったわけですが……彼女は残念には思っていなかったのですか?」
キスは零に対して呆れるだけだったが、ディアナはそうではなく、零の感情が愉悦、快楽の色にしか変化しなかった事に疑問に思ったようだ。
零が考えた案であるなら、それを見事に振られた事に対して、感情は変化するのではないか。
「……はい。私達が否定しても愉悦のままでした。その感情の意味が読めませんでした」
すぐに平静には戻らず、その話が終わるまでは愉悦のまま。メアリ達の中に侵入者を手引きした者という言葉に、何かしらの裏があるのか。




