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協力者

「お待たせしました。一体何があったのでしょうか? 私が言えるのは朝食の時に伝えたと思うのですが……」


 零は灰色の燕尾服を身綺麗にしてから、ディアナ達の前に立った。髪に寝癖がついてるのは、直すまでには時間が足りなかったのだろう。それまでの時間、彼女は眠っていたと推測出来る。


 零は従者の部屋に招き入れず、扉を閉め、廊下で会話する事を選ぶ。


 部屋にあるのはベッドとクローゼット。それ以外に机や椅子もない。


 魔法使いであるメアリ達をベッドに座らせるわけにもいかないと考えたのか。


「色々と問題が起きましたので。確認を取っておくべきかと判断しました」


 ディアナはメアリの方に向いた後、零に質問を投げ掛けた。


 メアリは朝の集会の時に感視を使ったのだが、三人に勘付かれない程の魔力しか必要としない。だから、ディアナにしても確認が必要だった。


「そうなのですね。……彼がいない事に関係していますか? 予知された事がすでに起きたとか」


 零が言う彼というのは十の事だろう。この場にいないアルカイズを、従者である彼女が彼呼ばわりはする事はない。


 それに加えて、魔法使いの側に従者が控えていないのは、何かあったと予想出来る。


「その通りです。私の従者が死にました。それに関して、貴女に文句を言うつもりはありません」


 これは継承権を取るための試練。事前に危険が及ぶのは承知済み。文句を言えるわけもない。


「それでしたら、要件は何なのでしょうか? この場にいないアルカイズ様に関係しますか?」


「いいえ。侵入者……私達以外の魔法使いがいた場合について。十は罠で死んだのではなく、魔法使いに殺されました。現場には血溜まりはあるものの、死体と凶器が消失。そんな事が出来るのは魔法使いしかいません。貴女は私達以外の魔法使いは迎え入れてないと言ってましたね」


「はい。主が招いたのはディアナ様を含めた四人だけです。それは間違いありません。侵入者に関しては主は何も知らないはずです」


 零はゴールド=ゴールがメアリ達以外の魔法使いを招いた事を否定した。これは前回も同じ事を言っている。


「この継承の話が漏れたとすれば、ディアナ様達の誰かが別の魔法使いに教えた可能性もありませんか? この中にいる魔法使いの協力者かもしれませんし、邪魔をしたい者もいるのではないでしょうか? 主が結界を張れない以上、侵入者がいてもおかしくはありませんね」


 侵入者の魔法使いはゴールド=ゴールが仕向けたのではなく、ディアナ達誰かの協力者。考えられない事はない。


 継承権を手に入れるため、協力者を館に手引した。結界がないのだから、容易く出来るかもしれない。


 更に言えば、従者が捨て駒だとすれば、十が死んだのは怪しまれないようにするため、死ぬのは決まっていたと取る事も可能だ。


 ディアナだけでなく、全員が怪しくなってしまうのだが。

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