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借り

「私が得意とするのは、相手の感情の機微を読み取る事が出来る魔法です。表面では分からなくても、体に感情という色の変化が見えます。ですが、心まで読めるわけではありません」


「心を読むまではいかないけど、似たような事が出来るわけね。動揺するのも感情の一部だから、本当か嘘かぐらいは分かるんじゃないの?」


「……それに関しては確実ではありません」


「それでも全然ましよ。メアリは来るべきだわ。今日使える魔法の回数は減るけど、ここは使わないと駄目でしょ。全部使ったわけじゃないわよね?」


 キスからの圧がかかる。ディアナからの頼みでもあり、死神も零の反応を見たいと言っている。


 零の虚偽を調べるのは重要だ。自身の命に関わる事なのだから、少しでも懸念は払っておきたいはず。


 だが、ここで魔法を使用すれば、メアリの今日の残り回数は一回となる。


 カイトの呪いを吸収する事を考えるのなら、侵入者から身を守るための魔法が使えなくなってしまうだけでなく、探索も難しくなってしまう。


「……分かりました。彼女に感視を使います。会話は二人に任せますので、よろしくお願いします」


 メアリは再度、零に感視を使用する事を選んだ。今はディアナと協力関係にある。従者を失った彼女の不安を減らすためでもあるのだろう。


「助かります。ここは私が彼女と話をしますので」


「当然ね。まぁ……魔法を一回使わせる分、何かあった時は攻撃魔法で助けてあげるわよ。借りは作りたくないし」


『彼女はメアリを嫌っていると思ったが、律儀な面もあるのだな』


 行方不明、消える順番としてディアナ、アルカイズ、キス、最後にメアリとなっている。それを知っているのは死神だけ。


 犯人が存在する場合、生存確率を考えると、攻撃魔法を得意とするキスが一番高い。最後まで生き残っていてもおかしくはない。


 それが三番目になってるのは、メアリに借りを返すために、キスが彼女を守ったのかもしれない。それも僅かな可能性に過ぎないのだが。


 基本、他者よりも自分の命が優先する。魔法の回数に余裕がなければ、キスがメアリを守る事はないと考えていた方がいい。


「従者の部屋は目と鼻の先だし、私達の会話も実は聞こえてたりしてね」


 従者の部屋は食堂の反対側。二階へ上がる階段の近くにある。とはいえ、余程大きな声で話さないと会話を聞かれる事はないだろう。


「それなら、彼女が部屋から出てくるはずですよ」


 ディアナはそう言い、従者の部屋前に立った。それから、カイトや七に任せず、従者の部屋の扉を開けようとした。


 メアリ達が何度も出入りした事で、安全なのは確認済だから出来る事だ。


 それだけでなく、彼女が直接扉前に立つのは、従者がいなくなった事の証明にもなる。

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