対策
「転移した場所には血溜まりがありましたが、彼の死体と凶器は消えてました。そんな事が出来るのは魔法使いだけですから」
「アルカイズやゴールド=ゴールを疑いはしたのですが……彼が呼び寄せた可能性もゼロではないですね」
死体と凶器の消失。アルカイズと館の主を疑っていた事も、二人は正直にキスに話した。
「その魔法使いも試練の一つだとしたら、最悪なんだけど……あの従者に聞いておかないと駄目な事が出来たわ。無理にでも起こさないと」
「それは継承の有無でしょうか? 彼女が存在を知らないのなら、答える事は出来ないかと」
「流石にそれはないわよ。継承権があるのは私達だけ。それは招待状にも書かれてた事だから、契約と同じでしょ。それを聞くつもりはないわ」
「それは分かります。魔法使い同士の約束ですから。それならば、一体何を」
「勿論、そんな奴がいた場合は殺してもいいかって事よ!! 私達が狙われているわけだからね。魔法使い同士の争いは禁止されてるでしょ。それが適用されたら、笑える話じゃないわ」
「確かにそうですね。相手は関係なく攻撃してきた場合、守る手段がない事になります。早急に聞かなければなりません」
ディアナ達は継承権の事もあり、今のままでは相手が攻撃してしても、反撃に躊躇しなければならない。こちらには継承権もあり、罰を受けるかもしれないからだ。
「まずはアイツに会いに行くわよ。部屋から出た様子はなかったからね」
キスは一階で鍵の合う部屋を調べながらも、従者の部屋が開くのかを気にしていたようだ。
「キス様が従者の部屋に行くのでしたら、私はアルカイズ様の従者を探しましょうか? 大人数で押し掛けるのも」
侵入者がいた場合に関しての事はキスが聞き、全員に伝えれば済む話だ。
彼女が零から聞いた事に嘘を吐いたとしても、零に尋ねれば、すぐにバレてしまう。
『こちらとしてはディアナ達から話を聞いた時の零の態度が気になるところだ。メアリにはキスと一緒に行って貰いたいのだが』
「こちらからも攻撃出来るかどうかもですよね。ですが……」
メアリが先に行動を言葉にした以上、従者は従うしかない。これがメアリとカイトの二人だけなら、意見を言えたのかもしれない。
だが、今はディアナだけではなく、キスがいる。カイトが出しゃばった言葉を吐けば、彼女が怒る事は目に見えている。
それをメアリが庇えば、余計な争いが増えるかもしれないのだ。
『いや……侵入者への攻撃に関する事は、私的に優先度は低い。というのも、様々な理由がある』
死神自身が想定、考えている事をカイトに伝えていく。