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分身による殺害

『これがあの鏡だな。一つではなく、二つあるのか。角度的にはこちらのはずだ』


 カイト達は部屋の調査を開始した。


 彼がまず調べようとしたのは十が移動してきた鏡。


 どうやら、この部屋には鏡は二つあるようで、両方共に人を映し出すという機能は無くなっているようだ。


「これも魔導具なのでしょうか?」


「そうです。すでに使われた後のようですが……何時使われたのか。どのような効果があったかまでは分かりません」


 カイトの質問にメアリが答える。鏡の魔導具があれば、一番に気にするところだ。


 十が鏡に転移したみたいに、犯人も同じように別の部屋に移動した。これは誰かに目撃される可能性は低くなるが、何処に転移するか分かっていた場合でも、リスクは生じる。


「魔力を補充すれば、どの効果があるか分かるのでしょうか?」


 衣装室の時は思いつかなかったが、魔導具は魔力を補充すれば再度使えるのではないだろうか。


「転移の場合、もう一つの鏡にも魔力を補充しなければなりません。無闇に魔法を使うのは相手の思う壺になりかねませんよ」


『それだと相手を追う事は出来ないか。転移でなく、物を隠していたとしても、効果が切れている以上は誰かが使ったという事。中には何もないだろうな。もう一つは……分身を生み出すような効果だったか? それで十を殺す事も出来るのだろうか?』


「ディアナ様は鏡の魔導具に、もう一人の自分を生み出すような事を言っていました。分身が彼を殺す事は可能なんでしょうか?」


 誰かの分身が鏡にいたという事はないだろうか。分身自体が魔法であり、十を殺害した後に消滅したのなら、部屋から移動せずに済み、隠れる必要もない。


「可能です。分身は物を持つ事も出来ますし、意識を持ち合わせてますから」


 従者の質問でありながらも、メアリよりも先にディアナが答えた。だが、分身による殺害は可能であるが、否定する言葉が続く。


「鏡の魔力量によって、分身の体が保てる時間は変わります。この場で消えれば、誰かに目撃される事もないかもしれません。ですが、分身は魔法を使えないのです」


「そうなると、彼の死体やその凶器を消す事は無理になります。つまりは分身の犯行ではないでしょうね」


 分身が十を殺す事が出来ても、後始末。死体と凶器の消失させるのは不可能のようだ。


『犯人と共に死体や凶器を見えなくさせるのはどうなのだろう。注視しなければ、見えないのだろ?』


「死体の気配も消して、一緒に外へ運ぶのは無理なのでしょうか?」


 カイトは死神の代わりに質問した。気配を消す魔法は自身だけでなく、他者にも使用可能。


 アルカイズは魔法で三の姿を見えなくさせたのだから。


「それは無理ですよ。死体を一時的に見えなくするのは可能ですが、血の跡は消す事は出来ません」


 死体を外に運んだとして、この血溜まりの量だ。床に引き摺った血の跡が残るはずが、それが一切ない。


 更に言えば、館の外に投げ捨てようにも、客室に窓が設置されていないのだ。

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