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死体消失

「これは……どういう事なのでしょうか?」


 ディアナがドアを開けると罠が発動する事はなかったが、異様な光景が広がっていた。


 十の死体がバラバラになっていた……わけではない。バラバラどころか、死体が消失していた。


「血溜まりがある以上、この部屋で間違いはないはずです。それに……」


「上着だけが残されていますね。私が魔法で辿る事を予想していたのかもしれません」


 ディアナやメアリ、カイトが部屋に入って、すぐに視線が向いたのは床に広がる血溜まり。


 刺されたのであれば、血が吹き出るのも当然なのだが、その死体が無くなっているのだ。


 それもディアナの加護がある上着だけを残して。死体が消えている以上、凶器が残っているはずもない。


「死体を移動させたにしてもどうやって……魔法を使用したのでしょうか? もしくは消滅された? どちらにしても」


 死体をどうやって移動させたか。血溜まりが出来る程、十の体から血が出ていたはず。何処かに運ぶにしても、移動した先に血の跡が残っていなければならない。


 それが何処にも残っていない。部屋の外に運んだ形跡がないのだ。


 魔法で消滅された可能性。死体を調べられるわけにはいかなかった。凶器も消えている。ただし、遺体があった場所を知らせる上着は残して。


 そこに矛盾は発生していないか。命約が切れたのであれば、十の死は確実のはず。


 死体、凶器がこの場から消えても、何かしらの物証が残らないとも限らない。


 場所は特定されない方が良いはず。上着も消去するべきなのだ。それを残しておいた理由は何か。


『死体と凶器の消失の時点で、誰かの犯行の可能性が高くなったな。罠が発動したとしても、加護が破られた時点で、上着だけを残すような事は出来ないだろう』


「人による犯行ではないでしょうか? 死体を消すのは知られたくない事があるから」


 死神同様、メアリもその答えに辿り着く。


「結論を出すのは、まず部屋を調べてからです。十以外の誰かがいたとして、この場からどうやって出たのか。勿論、罠が設置されてなかったのかも確認しなければ」


 ディアナも死神やメアリと同じ考えに至ってはいるのだろうが、可能性は一つずつ減らしていくつもりのようだ。


「メアリと貴方も注意するように。気配を消して、何者かが隠れているかもしれませんよ。この部屋の広さだと限りなく低くくても、ゼロではないですから」


 部屋の広さはメアリやディアナが案内された客室と同じ。荷物がこちらに運ばれていたせいで、狭く見えてしまう。


 その荷物や置物に犯人が姿を隠しているとはディアナも流石に思ってはいないだろうが。


 気配を消す魔法。アルカイズの得意とする魔法の一つではあるが、彼しか使えないわけでもないのだ。

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