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加護破り

 衣装室の鏡、十を別の部屋に転移された鏡は、あちらの天井すらも映さないどころか、何も映さない真っ黒の状態に。カイトが鏡に触れてみるが、何の反応も見せない。


「……何も反応しません。彼が倒れ込んだ時、背中に何か刺さっているのが見えました」


 カイト自身、本当は見えていなかったのだが、死神が目撃した事をメアリとディアナに伝えた。


 それはカイトが気になる面があったからだ。


「予知通りになってしまったという事ですか。私の失態です。彼から少しでも目を離すべきではなかった」


「それを言うのなら、私が先に本を調べようとしたのもあります」


 メアリ自身、迂闊な行動をした事を悔いた。十の鏡の変化が終わった後でも、本を調べられたはずなのだ。


「いえ……逆の立場だとしたら、私もすぐに本を調べようとしたはずです。十が別の場所に転移しても、加護があるから大丈夫だと過信してたのもあります」


 カイトが気になったところはそこだった。鏡の謎解きにディアナは十に加護のついた上着そのままを選ばせた。それは身を守らせるための物だったはず。


『加護を破ったからこそ、魔導具だったのではないか? 加えて、彼が何もせずに倒れてしまった事に対して、気になっているな』


「そうです。それも魔導具の影響なのでしょうか?」


『そこまでは私も分からない。相手がいた場合、勢いをつけたのなら考えられない事もないが』


 十が倒れ込んだ時、彼は後ろを振り向いた様子はなかった。


 命約が切れたのなら、あれが致命傷だったのだろう。だが、何が起きたのかを確認する事は出来たのではないだろうか。


 それが出来なかったのは罠が発動したのではなく、誰かに刺された、それも倒れ込む程の勢いをつけた場合だろう。


 単に刺されたのであれば、振り向く事が出来る。


 もしくは魔導具の影響。加護を破るだけでなく、反撃をされないために体を止める効果もあったのか。


 しかし、十を刺した相手の姿はカイト達だけでなく、死神の目に見えてなかった。


 彼女が見ていたのなら、背中に柄を確認するよりも、刺した相手を優先して見るはずだ。


 相手は透明人間。それに似た事が出来る人物が一人いる。


 アルカイズだ。彼は気配を消す魔法を使用している最中ではなかったか。


 もしくは、ゴールド=ゴールもアルカイズの得意とする魔法を使えたのか。


 彼が手を下した場合、それは予知の魔法では無くなってしまう。殺害予告に過ぎなくなってしまう。


「こういう状況です。謎解きも重要ですが、まずは十を探しませんか? ディアナ様には悪いですが、彼の死体から何か分かるかもしれません」


 十の死体を確認すれば、どんな魔導具を使われたのか。罠が発動したのか。それとも、誰かに殺されたのか。

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