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白と黒

「鏡が……変化していきます。八であれば問題なかったようです」


 鏡の中身が変化していく。カイトや十の姿は鏡から消え、魔力の渦が中で発生している。それは従者であるカイトや十の目にも見えるようだ。


 この鏡は魔導具であり、何かが起ころうとする前触れだろう。しかも、二つの鏡の変化は同じではないようだ。


 渦巻く色や回転する向き。その背景が黒であったり、部屋の景色を歪めた状態だったりもする。


「本当の問題はここからです。二つの鏡は別の動きを見せています。その変化が終わるまでは待っているように」


 ディアナの指示通り、カイトも鏡の変化が止まるまで、その場から動かずにいた。


 そして、先に変化が止まったのはカイト側の鏡。


 その鏡は何も映さない真っ黒に染まり、中から二冊の本がドサッと落ちた。


「……触れても大丈夫でしょうか?」


「少し魔力が宿ってますね。私が調べましょう。魔法書かもしれません」


 メアリはカイトが触れるのを止め、彼女自身が調べる事に。


「魔法書だとすれば、貴女が確認した後、私にも読ませてください。彼が書いた予知魔法の断片、探索に必要な魔法だとすれば、覚える必要があります」


『魔法書? 魔導具ではないのか。これを読めば、魔法を覚えられるとすれば、楽としか言いようがないぞ。それに一人しか読めないわけではないようだが』


 魔法書。これに記された物を読めば、新たに魔法を覚えられるのだとすれば、予知や回復の魔法も魔法書にすれば良いだけの話になる。


「それには色々とあるようです。一つ二つで完成せず、何冊も集める必要とする物もあれば、魔法書を読む事で、その書いてある魔法を一度だけ使用出来る物等ですね。一人しか読めない事は滅多にないそうです」


 用途はそれぞれ。書ともなれば、複数人に見られるの前提だろう。そうでなければ、継承争いする必要はないのだから。


「……表紙は白と黒。題名もなく、中身は何も書かれてませんね。何かした時に内容が浮かび上がるのでしょうか」


 メアリの後方で、カイトは本を覗き見る。


 白と黒の本が一冊ずつ。題名もなければ、絵も描かれていない。中身は魔法の説明が一つでもあればいいが、実際は真っ白はページが続くだけ。


 魔力を宿している魔導具である以上、使用方法はあるはず。


 それが魔力を注ぎ込むにしても、メアリも安易に魔力を流す事は出来ない。それ自体が魔法回数に数えられる可能性もある。


 零に感視をした事で、魔法の一回は使用した事になる。残り二回をここで使うのは、メアリも躊躇ってしまう。


 だが、ディアナに見せる事で何か分かれば、使う必要が出てくるかもしれない。


『ディアナが魔法を使用して、先に本の解読をするかもしれないか』


 謎の本を調べるため、魔法を使用するか。この本が重要であれば、先に解読した方が有利になるかどうか。


 彼女と十が二人で調べた時、先か後かの問題で、調べはしたはず。


 それをメアリ達と共有したか、一人占めしたのか。どちらにしても、ディアナは一番早くに死ぬ事になったわけだ。

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