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入室拒否

「………どうしたんですか? 人形が消えていた事をキス様やアルカイズ様から聞いたわけですか?」


 何故、零が従者の部屋にやってきたのか。人形紛失の件を誰かが伝えていれば、様子を見に来る事も考えられる。


 だが、これがゴールド=ゴールの仕業であれば、零が知っていてもおかしくはない。確認に来る必要もないはずだ。


 だとすれば、メアリとカイトの話に聞き耳を立てるためか。


 カイトはゴールド=ゴールの予知に存在せず、その主であるメアリ。ディアナ達三人とは違って、予知の魔法に反応しなかった事に警戒したのか。


「そうなんですか!! 御二人からそんな話は聞いてません。主がしたのでしょうか? 私に人形を置いた意味はなかった気が」


 零は人形が消えた事に驚いていた。カイトの人形を置いたのは、人形を参加人数に合わせるためだろう。しかも、誰かに発見されないと意味がない。


 カイト達従者は七人と認識してしまっているからだ。


 だからこそ、人形を奪うとしても、時間経過が必要だった。


『彼女はそれを知らされてなかったのかは疑問だな。ゴールド=ゴールが人形を奪った場合、タイミングが重要になる。その時間も予知していたら凄い事なんだが』


 食堂で十の人形を発見した際、従者達は部屋に確認するために向かった。それは確実に起きる事ではなかったはず。


 この三人がゴールド=ゴールと鉢合わせになる可能性もあった。


 それを零は止める事はしなかった。少しでも時間がズレれば、時間稼ぎをしてもおかしくはないはずなのに。


 カイトが来た事で予知に矛盾が起きたが、それでも零はそれを信じたか。もしくは、零は主から本当に何も聞かされてなかったか。


「主が私に何も言わない以上、傍観するしかありません。何処に人形が持ち去られたのかも分からないので」


 この言葉はカイトというより、後ろにいるメアリの方へ視線を送っていた。


 その視線が先程のメアリとカイトの会話を聞いていたようにも思わせる。


「問題ありません。人形が持ち去られた事には意味があるのでしょう。私達は別の部屋を調べようと思います」


 メアリは再度感視を使わなかった。一日の魔法の回数は三回と決まっている。零に対して、感視を二回使うわけにもいかない。


「それは助かります。今から仮眠を取ろうと思っていたんですよ。二、三時間は休みたいので、部屋に入らないで欲しいのです。……出来れば、メアリ様からディアナ様達へ伝えてもらえたら嬉しいのですが」


 零は夜遅くまで仕事をして、早朝からも動いていた。もしかしたら、徹夜で動いていたのかもしれず、メアリ達が探索している間に睡眠を取ろうとするのはおかしくない。


 寝る場所として、従者である零がこの場に来るのは当然の事。


『二、三時間の仮眠か。これが事実であれば、彼女をその間警戒しなくてすむ。探索がしなければならない以上、見張る事は難しい。更に言えば、部屋に入室拒否の発言も気になるところだが』


 睡眠の邪魔をされたくないため、従者の部屋の探索を一時的に止めたいのは分かる。今後の進行に影響が出ると問題なので、そこはキス達も了承はするだろうが……


 その隙に従者の部屋の謎を解き、何かをする可能性もゼロではない。そのために人払いだ。


 それを見るためにカイトが部屋に残ったとして、彼女は行動に移さないだけになるだろう。

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