エピローグ
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「アインズ様!! 今度はこの事件の内容を見ても良いでしょうか。関係者の記憶も覗かせて貰えたら」
「事件を見るのは構わないが、関係者の記憶は駄目だ。それなしであれば、閲覧を許す。私が書いた物に過ぎないからな。君の事件も書き残してある」
「大丈夫です。その事件を忘れないためにも必要ですから」
未解決事件解決後、アインズはカイトを使い魔にした。あれから、どれだけの時間が流れたのかは把握出来ない。
ある意味、メアリの策略とツヴァイの挑発に乗ってしまったのが原因だ。
アインズとカイトの使い魔としての契約内容。
カイトを未解決事件に参加させ、依頼者の助手として解決させる。
成功すれば、メアリの魂の一部はカイトに渡り、負ければ、ツヴァイがメアリの体を奪える。
ただし、ツヴァイが関係してない事件に失敗しても、アインズの負けと判定される。
ツヴァイは自分以外にアインズが負けるのを許さなかった。
カイトという協力者が出来る事でのハンデ。
加えて、新たら擬似的世界によるカイトの死亡は、彼の魂を消滅させる事に。
それはメアリの体が一気にツヴァイの元に行くというハンデともなっている。
アインズは未解決事件の解決だけではなく、依頼者とカイトの死を気にしなくてはならなくなるわけだ。
「事件を見るのもそうだが、その世界がどのような物か。その知識が別の世界でも利用出来るのかも考えるように。ツヴァイもそうしてくる可能性もあるからな」
擬似的世界に向かうのはカイトであり、様々な知識は所持しておくべき。
アインズはそのためにも、カイトに今までの事件の記録を見せる事にした。
「そういえば、あれかはツヴァイ様は顔を見せないですね」
アインズとカイトが契約を結んでから、ツヴァイは顔を見せる事はなかった。
新たな事件の準備をしているのもかもしれない。
「アイツが顔を見せるのは、擬似的世界を生み出した後だ。もしくは、姿を変えて、私達の様子を見ているのかもしれないが」
死神は死者の姿を移し替える事が出来る。
零ではなく、別の姿になっていれば、分かるのはアインズだけだろう。とはいえ、一瞬では判別は出来ないだろうが。
勿論、ツヴァイがアインズに似た姿……メアリの体を使う事は無理な状態のままだ。
「とはいえ、そろそろ謎解きを……君の成長を見るためにも、新たな未解決事件が読みたいところだが」
「僕としてもメアリ様の魂を早く解放したい……っと!! 来ましたよ。あれは……一体……」
アインズの住処。様々な魂が記憶された図書館、探偵事務所に何かが流れ着いた。
それは人間に似た姿だが、生き物のようにも見えない。銀色であり、作り物のようにも見える。
「あれは機械……ロボットという物だな。……面白い。ツヴァイが関係しなくても、興味が唆る案件だ。君はアレを運んできてくれ」
「分かりました!! アインズ様の使い魔になって、初めての事件です」
「そうだな。君にとっては失敗が許されないが、私もいるから安心して構わない」
カイトはロボットをアインズの前に運んでいく。新たな未解決事件の開幕だ。
終




