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新たな契約

「……無理です。人を殺す事に協力するなんて。しかも、未解決事件にするなんて以ての外です。僕みたいな人を増やすなんて」


 カイトはツヴァイの提案を拒否する。未解決事件でなければ、アインズがいる場所まで依頼者が来る事がない。


「そもそも死ぬ事が決定している人達だから。そこまで深く考えなくてもいいのに。恨みを持つ者に提供するのも良い事だよ。勿論、失敗しても問題ないから」


 ツヴァイが選ぶ相手はすでに死ぬ事が決定している。その死因は変えているだけであり、犯人となりえる相手に提供している。


 勿論、未解決になるように仕向ける。失敗すれば、アインズの場所まで辿り着かない。その必要がない。


 アインズが謎解く事件の全てが、ツヴァイが仕向けた事でない事を意味している。


 彼女自身、アインズに勝負を挑むためではあるが、純粋に殺人の舞台作成を楽しんでいるのもあるのだろう。


「それでも……」


 メアリの魂を解放するためにも、カイトはツヴァイとの契約を結ぶしか方法がないのか。


「私としても興味があったが、カイトだけでなく、メアリも拒否しているぞ。自身が手を染めたように、彼にはそうなって欲しくないのだろ?」


 アインズが言葉を区切るように止めたのも、メアリの反応が見えたからだろう。


 メアリが反対したのであれば、契約の連結は厳しい事になる。自身が解放されるより、カイトが利用される事を許さない気持ちなのかもしれない。


「それに……ツヴァイの事をそこまで信用してなさそうだ。私との勝負に勝てるとも思ってないらしい。逆に彼の力を勝てないと駄目な死神に、体を奪われるのも納得してないぞ」


「はっ!? そんな事ないから!! 今回は引き分け。アインズに負けとも言わせるぐらいは出来てたからね!! 次は完全勝利を狙える。当然、カイトがいなくても」


 本当にメアリが思っているのか、アインズの挑発にツヴァイは反応してしまっている。


「ちょっと待って……本気で思ってるわけ? 楽に私の体を奪わせないって……いいわよ。その安い挑発を受けてあげるよ」


 ツヴァイはアインズではなく、メアリに向けて言っている。本当にメアリが言っているようだ。


「……待て。私が巻き込まれるのは今更だが、助手をするのは、依頼者だけで十分で」


 アインズはメアリの代弁をしていたはずが、今度は彼女の発言をアインズが止めようとしているように見える。


 勿論、カイトには三人の会話の内容の全てを把握出来ていない。


 分かるのはメアリがツヴァイがカイトを従者にするのを反対しただけ。


「条件を追加するから。コイツが死んだとしても、アンタの負け。体を無条件に引き渡す。僕もそんな指示はしない」


「何を勝手に」


「アインズは痛くも痒くもないでしょ。それとも……負けるのが怖いわけ?」


「……いいだろう。引き受けてやる。私が驚くような事件を持ってこなければ、すぐに終わらせるぞ」


 今度はツヴァイの挑発を、アインズが受ける形に。そして、アインズがカイトの方に振り向く。


「君はツヴァイではなく、私と契約だ。私の使い魔として、未解決事件の解決に導く」

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