死神の従者
「だからこその提案だよ。メアリの魂だけは解放してあげてもいい。同じ姿で生まれ変わる事は無理になるけど」
ツヴァイはメアリの体だけに執着しているわけで、彼女の魂を解放すると言っている。だが、それを簡単に信じるわけにもいかない。
提案であり、カイトに条件を出してくるのは分かりきってる。
「信じるなよ。メアリ魂を解放するだけで、彼女の体を物に出来るのなら、先にそうしている。メアリの魂と体は完全に途切れてないはずだ。だからこそ、コイツに抵抗している」
アインズはカイトが騙されないように、助言する。カイトのツヴァイに対しての質問が終わったのであれば、彼女が口を挟む事に文句はいえなくなる。
「アインズが口を挟む事は分かってたよ。カイトと新たに契約を結べば、文句はないでしょ。それにメアリの契約とも連結させる」
ツヴァイが指を鳴らすと、メアリの体がカイト達の前に現れた。透明の箱のような物に入れられ、厳重に保管されている。
体が腐らないようにするため。魂も閉じ込められているのか。
「メアリにも僕とカイトの会話が聞こえる。彼女の魂が納得すれば、問題ないだろ?」
「私にもメアリの魂の反応は分かる。そこは君も安心していい」
アインズは同じ死神として、メアリの魂の反応を見る事が出来るらしい。
彼女の体を出してまで、ツヴァイが嘘を吐けないという事だ。
「契約もきちんと果たさなければ、効果が薄れる事は君も理解したはずだ」
この事態の原因も契約が破綻しているからだ。ツヴァイも二度も同じ過ちは繰り返さないだろう。
「はい。メアリ様の魂の反応をお願いします。僕が契約するにしても、内容次第です」
「簡単な事だよ。僕の従者になって、一緒に新しい事件、未解決事件を生み出して、アインズに幾つもの敗北を与えるんだ。それに成功するたびに、魂を少しずつ解放するよ」
カイトの推理により、ツヴァイはその思考を利用して、アインズに勝負を仕掛けるつもりらしい。
カイトはアインズの考えに触れているのも大きいところだろう。それが彼を成長されたとも言える。
「私としては面白い提案ではあるが……」
アインズもそれに興味を示している。彼女は謎解きを好み、常に新たな未解決事件を求めている。
カイトがこの経験を活かして、どのような未解決事件を生み出すのか。ツヴァイがどのように手を加えるのか。




