表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
482/491

ミス

「僕が死神……アインズ様のミスを指摘するのですか?」


「その通り。偉そうにしながらも、依頼者にミスを指摘されるのはアインズにとっては屈辱でしょ」


 ツヴァイが質問に答える代わりの条件として、アインズに頼らず、カイトだけがどのような質問をするかを考える。だが、その前にアインズに更なる屈辱を与える事をツヴァイは忘れない。


 彼女はアインズに余程執着しているように思える。


「私の事は気にするな。ミスをしたのは間違ってない。初歩的なミスだ。この場所に戻ってからの会話等でも、君なら読み取れるさ」


 アインズはツヴァイの煽り、嘲笑にも動じない。それだけで彼女は苛つきを隠せず、カイトにヒントが与えられた事に気付かないようだ。


「……分かりました。一つは記憶の本です。メアリ様の記憶に仕掛けをしていた事に、アインズ様が気付かなかった」


 メアリの記憶の本だけ変化しているのは、ツヴァイが仕掛けをしていた。最初から気付いていた場合、メアリが黒幕とまではいかないが、共犯者と分かっただろう。


「正解。僕は何度も邪魔している。そこは注意しておくべきでしょ。といっても、記憶の本を弄ったのは今回が初めてだけど」


 アインズは途中からではあるが、ツヴァイが介入している事に気付いていた。だが、最初からというのは難しい。しかも、いつもとは違った形にしているのなら尚更だ。



「……ですが、僕はそれを最初から知らなくて良かったと思います。メアリ様が黒幕、共犯者と言われても、信じる事は無理だったと思います。ここまで来たからこそ、メアリ様の行動を受け入れる事が出来たわけですから」


 カイトはこのミスでアインズの評価を下げる事はなかった。


 仮にアインズがツヴァイの仕掛けに気付いていたとしても、カイトに伝える事はしなかったのではないか。


 アインズはカイトの話を聞き、最初からメアリに疑いを向けさせるのは避けたはず。


 メアリの記憶だけに仕掛けた事自体が罠だと判断して、証拠が揃うまでは口に出す事はしなかったのではないだろうか。


 加えて、彼女はミスの言い訳を何一つ言ってない。敵相手に負けを認めようともした。


 そんな彼女の評価を下げようなんて事は、カイトには一切ない。


「……ふん。そんな事は僕も分かってるよ。僕の方がアインズとの付き合いは長いんだから。もう一つは何? さっさと答えてよ」


 ツヴァイはアインズではなく、カイトに敵意を向けてきた。自分の方がアインズを知っていると考えているのが、余程腹が立ったのだろうか。


 彼女のアインズに対する執着が物語っている。


「もう一つのミス……メアリ様の記憶に仕掛けたように……犯人を示す物があった?」


 ツヴァイが言うアインズのミス。メアリの記憶の仕掛けに気付けば、犯人は特定出来た。それと同等のミスだと考えた方がいいのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ