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崩壊

 カイトもそれに対して、何も言わなかった。ここが最後の別れだと分かっているからだ。


 零と対峙して、彼女が持っている真相を聞いた時点で、この世界は終わる。もう一度、カイトがメアリに会う事はない。


「さようなら。最後に見るカイトが元気な姿で良かったです」


 メアリはカイトに笑顔を向けた事で、カイトも無理に笑顔を向ける。


 それもカイトが最後に出来なかった事だ。呪いに侵され、メアリに笑顔を向けれないままに終わってしまった。


 彼女もまた笑顔ではなく、決意した厳しい顔をしていたと振り返ったのだろう。


 最後には笑顔を向ける。メアリがそうするのであれば、カイトもそれに倣うしかない。


「メアリ様!! 僕も最後にその姿が見れる機会が出来ただけでも」


 時間にすれば、僅か一分にも満たない。カイトは最後まで言葉に出来ず、天井が開き、吸い込まれるように体が上昇していく。


 上行くカイトの姿をメアリは見る事なく、彼の視界から消えて行った。


『このまま上に行き、辿り着くのは初代ゴールド=ゴールドの絵が飾られている場所だ。零が外に出たのなら、移動場所としてはうってつけだ』


 カイトは片目を閉じ、地図を確認。地下一階と一階の地図を照らし合わせるように見ると、二階へ行くための踊り場の位置に当たる。


「零は外に出たと思いますか? ゴールド=ゴールが外でしていた事が、零の仕業だと。儀式は館内ではなく、外という可能性は」


『ある。儀式云々ではなく、彼女が最後に生き残った人物であれば、最後には外に出る事になる。メアリや零の死が決定しているのであれば、安全な場所へ逃げるだろう』



 最後には館を後にする。それは生存者が零であれば、当然起きる事だ。


 人間から死神になれない以上、儀式は必要ない。相手側の死神はどうやって、零を信じ込ませたのか。


「館の入口が開いてます!!」


 予測通り、踊り場が出口となっており、床から吹き出る形となった。


 館の入口は目と鼻の先。そこはメアリとキスが二重結界を張っていたが、時間の経過と共に完全に消えていた。


 それだけでなく、入口の扉が開かれている。誰かが外に出た証拠だ。


 わざわざ、館内が危険なのは明らかであり、外に出るフリはしないだろう。


「零は外に出てます。逃げるにしても、近くで状況を確認はするでしょう。そんなに遠くには行ってないはずです」


 カイトは急ぎ、館の外へと走り出す。早く解決すれば、メアリとキスが戦闘をする前に終わらせる事が可能も残っているからだ。


『私も同じ考えだ。二人もそうだが、君が……外に出るのを止め』


 死神は何かに気付き、カイトが外に出るのを止めようとしたが、それも僅かに遅かった。


 一歩踏み入れた瞬間、外が暗闇に押し潰された。

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