キスの行動
『メアリがキスと戦闘しなければならない方法はある。君の存在だ。君が死ねば、この擬似的世界は終わるわけだが、メアリとしては生き残らせなければならないのだろ?』
メアリは自身が最後に死ぬ事で、この世界が終わると聞いていた。この場合、キスが先に死んでいた事が前提だったが。
この時、カイトは生き残っている。それが死神になった後でも従者にする方法。
それも今となっては、それが体を奪われるだけの嘘であるとメアリは知ったわけだが。
『そうでなくても、メアリは君を守るための行動を取るはずだ。それを見越して、零はメアリと合流されたのかもしれない。それだけでなく、メアリが裏切る事前提で』
メアリがカイトに真相を話すという事は、零も知っていたはず。彼女がカイトを案内する時にも言っている。
カイトがその話を聞いた場合、彼も死神の話を彼女にするはず。
彼がメアリを殺せばいいが、出来ない場合も見越しての可能性もある。
『だが、キスが取る行動は判断が難しいぞ。君達の仲間である可能性も十分ある。二人を助けに来たという事も考えられる』
「確かに……そうですよね。書斎の時……転移の鏡で移動するまで、僕達が敵対する事はありませんでした。むしろ、僕を守ってくれたまであります」
書斎から転移の鏡で第二書斎に移動して、七の分身に襲われる事に。その時、カイトとメアリは協力して、分身を倒したわけだ。
別々の行動になったのも、魔法使いと従者を分ける罠に陥ったのが原因。
キスがメアリとカイトの二人を疑う要素は何もない。
加えて、別行動に襲ってきたのは三。
彼女がメアリの従者とは思わないだろう。館の主の従者だと考えるぐらいだ。
下手に館の主がすでに死んでいる事を、キスに教える事もない。継承問題が消えて、彼女は自由に行動を許す事になりかねない。
『問題があるとすれば、キスが三を殺害しただけでなく、死体を偽装した事だ』
キスが三に変身した後、バレないように休む事にしたようだが、その間にどんな会話を十達としたのか。
そこでメアリの名前や館の主がすでに殺されているという内容が出ていたか。
流石に零が協力者である事はバレているはずだ。十が零に伝えるなり、一度は合流している可能性もある。
零だけが変身に気付き、メアリの裏切りを匂わす言葉を伝えたとも考えられる。
でなければ、零の言葉をキスが信じるわけがないのだ。
『キスが協力者のままであれば、逃げる事や攻撃する事は裏切りと判断するだろう。合流した後、零を追い詰める事は楽になるのだが』
キスが何も知らず、メアリと協力を続けるのであれば、零を追う事は可能だ。だが、メアリが裏切ったと知っているのであれば……




