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発端

『だが……意識は死神だ。彼女は意識は消えている。死んでいるのだから当然だ。死神が彼女の持つ記憶を利用しているに過ぎない』


「そんな……この事件は死神がメアリ様の体を奪うためだけに起こしたわけですか」


 メアリは死神になり、カイトをもう一度従者にして、共にいようと願った。


 だが、実際に起きるのは死神に自身の体を奪われるのみ。自身の体を利用されているのだから、メアリが勘違いするのも無理はない。


『……それも理由の一つだろう。だが、それは本来の世界で決定している事だ。君を生かす理由にはならない。それ以外にもあるはずだ』


 メアリの願いが叶わないのなら、カイトを生かす理由はない。この世界は死神が作り出した擬似的世界だが、メアリの体を奪った死神が介入出来ているのは確か。


 擬似的世界はメアリの記憶を利用して生み出した事もあり、死神からメアリの体を守る事が出来る可能性もあるのか。


「……メアリ様はその代償に体を捧げたのですか? この世界でもそういうしようと?」


 擬似的世界のメアリが、本来の世界で起きた結末を知らない。カイトが参戦した事により、成功したと思っているだけだ。


 それをより完璧にするため、ここでもメアリは死を選ぼうとするのか。


「そうです。それを誰よりもカイトの手でやって欲しいと思ってます。それが死神となる私との繋がりになるはずですから」


 カイトにメアリを殺させる。メアリにしてはそれが本望かもしれないが、彼にとっては無理な話だ。


 彼女を守るために擬似的世界に入ったまであるのだ。


「そんな事!! ……僕には無理です。僕はメアリ様を救いたくて、死んだ原因を知るために、死神に協力してもらったんです」


「分かってます。カイトが私が消えた原因を調べる事も。その結果、死神がいる場所へ辿り着く事も。そのお陰で、永遠に二人でいる事が出来るようになるんですよ。カイトはそれが嫌なのですか?」


『メアリが求めるのは君と長く共にいる事だ。呪いを回復手段がなく、混血による短命な自分。それを解決する方法はこれしかない。そこを狙われた。本人の姿で登場している事から、それが叶うと思ったのか。君がメアリを殺す事によって、それが強固になるわけじゃない。先程も言ったが、彼女の体が奪われた状態だ。決して、メアリ自身では無くなる。それで絶望する君を見たいだけなのかもしれない』


 カイトを生かした理由が、彼自身にメアリを殺害させる。助けるために来たはずが、逆の行為をさせる。


 このような事件を起こすのだ。その可能性は十分ある。

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