メアリ
「それは……僕も信じる事が出来ますか? メアリ様だけが信じれる物なんですか?」
メアリが信じる事が出来る根拠。メアリ本人の事をよく知っていたからか。メアリだけでなく、零も信じさせないと駄目なのだが。
「カイトがその死神に会えたのなら、すぐに分かると思います。私が会ったのは私自身。死神となった私が会いに来ました。それが変身魔法ではない事は間違いありません。私しか知らない事も知ってるぐらいです」
「メアリ様と会ったのがメアリ様自身……ですか。そんな事は……」
メアリ自身がそういうのだから、間違いないだろう。変身魔法も完璧にするのは難しい。見えてる部分は似せても、服の中。隠れている箇所まで同じにするには、全てを晒すしかない。
それをメアリは本人だと断定するのは、変身魔法では無理なところまで同じだったのだろう。
彼女だけが持つ情報もそうだが、魔力が同一だったのかもしれない。
それよりもカイトがその姿で分かると言うのであれば、本人と呼べるのではないだろうか。
だが、問題が一つある。人間から死神になる事は出来ない。
死神の使い魔や従者になれたとしても、死神にはなる事は不可能。
死神本人がそれを言うのだが、メアリが嘘を吐くともカイトとしては考えられないだろう。
それだけでなく、天井裏でのメアリに似た声。しかも、死神のようにカイトの頭の中に声を掛けてきた。
それが証拠の一つになるのか。死神になったメアリが干渉した。死神になった事で、雰囲気や性格が変化してしまったのか。
『……人間が死神になるのは無理だが、ある条件により、死神が人間の死体を器にする事は可能だ』
「死神がメアリ様の体を!? 一体、どういった理由で……そもそも、メアリ様の体を奪った後にそれは可能なんですか?」
メアリの死後に死神が体を奪ったとしたら、時間の流れ的におかしくなる。
死神の姿は別人でなければならないはずだが。
『あの世界には時間の流れは意味がない。過去に干渉する事も可能だ。メアリの体で、彼女に会う事も出来る。でなければ、死神の存在をメアリは信じなかっただろう』
死神は擬似的世界を生み出す事が出来るくらいだ。他の世界、過去に干渉出来てもおかしくはない。擬似的世界も過去の出来事ではあるのだから。
『そして、私と同類の者が彼女の体を欲したのは…………彼女が持つ魔法か。感視により、感情を見るのは楽しむためとも考えられる』
死神の言葉に間があったのは、他の理由を言おうとしたのか。だが、感視等の特殊な魔法を死神が欲したのなら、少しは納得出来る。




