死神
『君に謎解きをさせ、真相に辿り着かせる……か』
「それって……」
『私が謎解きをする事を知っているわけだ。そういう場合は邪魔をするものではないのか。私と繋がっているのが君だと分かっているのなら、殺してもおかしくはなかった。だが……』
相手側は死神が謎解きをしているのを知っていた事になる。
普通は真相を解き明かせず、未解決事件のままに終わらせる。謎解きを邪魔するのが目的だと思うだろう。
それが叶うのは零だけなら。メアリがいるのは悪手。カイトを殺すのを許すはずがない。
メアリ、零、死神にメリットがなければ協力するとは思えない。
ただ、カイト側の死神のように謎解きを楽しむ。そういう別の理由があったのかもしれないが。
「……それを達成すれば、どうなるのですか？ それを知ってるわけですよね」
カイトが真相に辿り着き、謎解きが達成すれば、この世界は消滅する。
その後、彼は輪廻の流れに入り、来世を待つだけ。
もし、カイトが謎が解けずに死んだ場合は魂自体が消滅。本当に消える事になる。
どちらにしてもメアリと共にいるのは不可能のはず。
「この世界は消滅するんですよね。その後、カイトは死神がいる場所に戻る事に」
『間違ってはいない。失敗すれば、この世界と共に君は消滅する事になるが……成功すれば、私の元に戻る。死者が本来行き着く場所へ送らなければならないからな』
メアリはそれを知っているようだが、彼女には関係しているのか。
カイトは死神とは死後に出会い、メアリは生存時にあったはず。
カイトとメアリが一緒に死神の場所へ行けるとは、死神は言ってない。
可能だとしても、すぐに消える事になるのなら同じ事ではないか。
「その時、死神となった私がカイトを留めます。死神になれば、使い魔を……従者を一人だけ取れるらしいです。それは特定の魂だけのようで」
『……魂を使い魔に出来る話は事実だが、それをする死神は滅多にいない。擬似的世界に送り込む事を考えたら、そう捉えられるかもしれないが……それよりも……』
死神の言葉が詰まる。死神は魂を使い魔にする事は出来るようだ。擬似的世界でカイトを使っているのも、そのような行為の一つだとも言えるだろう。
「零もそんな事を言ってましたが、メアリ様は自身が死神になれると言う言葉を根拠もなく信じたんですか？」
相手側の死神はこれから起こる事をメアリや零に伝えたのかもしれない。それは現実で起こり、信じる事にしたのか。
ここから予知魔法というのを使う事を思いついたのかもしれないが。
「根拠はありますよ」
