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「……メアリ様に似た……死神の絵を見た時ですか? そのために顔を同じにした……僕が見るのが合図になっていた」
「最終的にはそうですね。ですが、その前から予定されていた流れ、計算と違う事で違和感の積み重なりもありました。それはカイトの行動……というより、死神としての行動ですか? 三達にはカイトが死神と繋がっている事は伝えてなく、反感を持たれましたが」
最後の決め手となったのが死神の絵なだけで、少しずつ記憶は解かれていたらしい。
カイトの参戦で計画が狂い出したのだから当然といえば、当然。
下手すれば、主殺しに失敗する可能性が出てくる。カイトの監視役を一人付ける事になりかねない。そんな場面は幾らでもあった。
「メアリ様の記憶が戻り、転移の鏡で移動した後、この場に自分の意思で来たというわけですか?」
この場所に転移先の鏡は置かれていない。零や三、十に連れ去られたわけではなかった。
もしかしたら、転移先がこの場所と繋がっていた可能性がある。下に落下する際、鈴の音が鳴ったのだろう。
三人が転移の鏡を使用する時、メアリはカイトを連れず、単独行動を選んだのもそのためか。
合流するためと言っていたが、バレずに地下へ行くため。何かしらの準備をしていた可能性もある。
「……それは違います。この場所に案内したのは零です。彼女と合流して、ここにいるように頼まれました。安全にカイトを連れて来ると」
確かにこの場所へ案内したのは零だが、最初は別の場所に彼を閉じ込めていた。
それは三や十がいたからなのか。死神に会ったのが零とメアリだけなら、隠したい事があったのかもしれない。
「キス様は私達に協力してくれたわけですが……十達の手で殺害されたのでしょ? カイトを助けたとも聞きましたが……そこは謝ります」
メアリはカイトに頭を下げた。キス殺害はカイトにとっても衝撃的だと感じたのかもしれない。
「キス様が殺された……ですか?」
「彼女達はカイトとキス様を分断すると言ってました。一回目……七が仕掛けた時は失敗したようですが」
カイトとキスを分断させる。一回目というのは、七の分身が襲ってきた時。転移の鏡で移動した直後の事か。
分身はキスを残して、カイトを先に行くのを許していた。
それをメアリは後から知ったのか、転移先が何処であり、待っているのが誰なのかを知っていたからか。
一回目という事は、それが失敗したのも知っている。分身がカイトを殺害しようとした事も。
メアリが七に罰を与える指示を出した可能性は十分あるが、問題はそこではない。
カイトと別れた後、メアリは何処までの情報を零から受けているのかだ。




