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引き金

『事前に情報を得ていたのなら、記憶改竄も完璧でなく、馬車内で分かってただろうな。それに加えて一部の記憶……本来の世界と同じと思わせたのか? そうした理由があるとすれば、君にそれをバレないようにするためだろう。それとも私の存在を懸念してなのか』


 この世界が作られる事を知っているのであれば、死神が関与しているのは当然相手も知っている。


 メアリが最初から怪しむ行動を取っていたのなら、この出来事がメアリの自作自演だと死神にバレていた可能性もある。それを阻止したかったのか。


 そうなるとメアリの意思ではなく、メアリ側の死神が忠告した事になるが……


「馬車内にカイトが出てきた時、記憶が有耶無耶になり、カイトが一緒にいる事に違和感がなくなっていきましたから。その分……」


 カイトがいた場合、メアリが起こそうとしている出来事に齟齬が生まれる。その違和感が拭えない状態になりはしたのだろう。


「いつからですか? 記憶が元に戻ったのは? 零と会った時……もしくは……人形ですか? それも違う気がします」


 メアリの記憶が戻ったのは最初の方なのか。記憶を戻すスイッチとしては、零に再会した時とも考えられる。


 だが、そこでメアリがおかしい行動を取ってはいなかった。


 見立て殺人の人形は特徴的であり、記憶を取り戻すスイッチ、意識の衝撃としては効果はあるだろう。


 ただ、それはこの出来事に最初から用意されていた物ではある。


 十の偽装殺人やディアナ殺害の時か。


 メアリもディアナ達の殺人に直接手を出してなくても、手助けをしていたとしても、その行動は変わらない。


 彼女の記憶を取り戻すきっかけにはならないのではないだろうか。


 魔物の死体の発見時。あれは零もメアリも知らなかった事であり、例外。スイッチにはなりえない。


 館の主の死。首無し死体の発見時はどうか。


 メアリはここで館の主が殺害される事を知っていたのか。直接見てない以上、それにはなりえないだろう。


 零が引き金の一つとなるのなら、その時に行動していたのはカイトだ。しかも、その死体は館の主ではなく、三の死体として見ていたはず。


『あの絵……メアリに似た死神の絵を確認した時だ。あの絵からは視線があった。君が見る事で反応したのか。それともあの絵の題名が彼女に分かったからこそか』


 あの絵の題名は分かっていない。題名を解く事が謎解きと考えていたが、メアリが記憶を取り戻すためのきっかけに過ぎなかった可能性もある。


 四つの文字。彼女に似ていたが、メアリは三文字で一文字余る。しにがみ、シニガミと入れる事も可能ではあるが、『思い出せ』等の呼び覚ます言葉のための四文字とも取れるのではないか。

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