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隠し事

「開けたという事は、私が本人だと分かったんですね。カイトなら間違うわけがありません。理由があるとすれば」


 カイトの目の前には黒の魔法使いの衣装、マントを羽織ったメアリがいた。


 彼女が持つ空気、雰囲気は何も変わってない事をカイトは実感する。間違いなく、メアリ本人。誰かが変身魔法を使用したわけじゃない。


 だが、その手に護身用のナイフを待ったままな事に違和感がある。


 そのナイフは誰に向けるためなのか。カイトであるはずがなく、零は協力者だ。キスに対して、ナイフを所持しても対して意味がないのは、魔法使いなら分かる事だ。


「……零から話は聞いてます。何故ですか? メアリ様がこんな事に協力するなんて」


 零がこの場に案内する時点で、彼女が協力者だと分かる。メアリ自身もカイトに知られた事は承知済みだろう。


「そうですよね。ディアナ様やアルカイズ様に直接手を出してないとはいえ、見て見ぬフリをした事になります。カイトを騙していた事にもなってしまいました」


 メアリは少し悲しそうな顔をする。従者達とは違い、ディアナやアルカイズ殺害を好んで、実行させたわけではないのか。


「ですが、ディアナ様達は私達が手を出さなくても、死は免れなかった。それが事故なのか殺害されるのかは分かりません。結果が決まっているのなら、彼女達の気を晴らすのも必要な事です」


『メアリの言っている事は間違ってはいない。ディアナやアルカイズは強い魔力を所持しているからではなく、この時期に死ぬのが分かっている魔法使いを呼んだのかもしれない。生死を変化させるのは至難の業だ。ディアナ達がこの場所に来なくても、死は回避出来なかっただろう。だが、それを知る事が出来るのは……』


 メアリや零、館の主もそれを知る事は出来ないだろう。予知や回復魔法は嘘だとすでに分かっている。


 だとすれば、メアリはその事を誰から教えて貰ったのか。


 館の主や零の言葉を素直に信じるのか。


 メアリは簡単に人を信用するタイプに思える。魔法使いと従者でも分け隔てなく接してると垣間見える時が幾つもあった。


 だが、そんな彼女がディアナ達の殺害を容認している自体が普段とは違う。


 カイトの目からしても、メアリで間違いないのだが、本来起きるだろう儀式はすでに終わっているのか。


 メアリの少しの変化はそれが影響を与えたのか。


「それに……カイトも私に隠し事をしてましたよね。お互い様という事です」


 カイトの隠し事。それは死神が協力している事だろう。零はカイト自身が死神だと勘違いしていた。メアリもそれを知っていたという事だ。

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