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「なるほど……安心しました。私達の行動は間違ってなかったようです。カイトを助けたのは今の私ではないですね」


 メアリは彼に助言を与えた事を否定したが、『今』と付け加えたのは何故か。


 零は死神が作った疑似世界を別世界と認識しているのだが、メアリもそう考えるいるのか。


 別世界のメアリがカイトに助言を与えたと。


『……今か。本来起きた出来事から、君に助言する事は不可能だ。君が参加した事で、ここまでの過程が違っている。だが……』


 本来起きた出来事。この擬似的世界はメアリ達の記憶から構成されており、そこから情報を抜き取る事が出来たとしても、新たな状況になっているのだから意味がない。


 そもそも、メアリがこの状況をどう考えているのか。零と同じである事は十分考えられる。


 死神はメアリがそう答えた理由を思い至ったのか。


「メアリ様が死神に……なんて事はないですよね。先程、零の言葉を貴女は否定したから」


 零がカイトのような存在、死神になる事を望んだように、メアリも彼女と同じ願いをしたのか。


 死神であれば、カイトの頭の中に話し掛ける事は出来るだろう。


 メアリであれば、彼に助言を与えてもおかしくはない。


「『今』というのも気になりました。過去ではないはず。未来だとして……メアリ様はすでに殺されているわけで……」


 メアリの未来はすでに閉ざされており、カイトに助言を与える事は出来ないはず。


 だが、例外がないわけではない。


 カイトが死神の元へ流れ着いたように、メアリも別の死神の居所に辿り着いた。


 彼も死後である事から、メアリもないわけではない。カイトを残したという、未練は間違いなくあったはず。


 とはいえ、死神が擬似的世界を作った直後から干渉出来るのは難しいのではないか。


 流石に死神も余計な物が混じっていれば、気付くのではないか。


『彼女に直接聞くしかない。本人である事は君も分かっているはず。彼女は自分の命よりも、君の事を考えていたと、これまでの彼女の行動で私にも分かる。本来起きた出来事、彼女は君を助けるつもりじゃなかったのか』


 メアリがこの館にカイトを置いてまで来たのは、回復魔法を手に入れるため。


 それによって、カイトを治療する。だが、館の主と協力していた場合、それがない事を彼女は知っていた事になる。


 結局、メアリ自身は死に、カイトが治療される事もなかった。両方が不幸になっているのだ。


 カイトは意を決して、メアリのいる部屋のドアを開けた。

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