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本物

 鈴の魔導具。それは二つセットであり、片方が鳴れば、距離は関係なく、もう一つの鈴も鳴るようになっている。


 それは赤黒の侵入者の襲撃時、メアリが転移の鏡で移動して、拐われた時に鳴ったのだが、それ以降は鳴ってない。


 拐われた時ではなく、彼女自身が直接その場に向かった。カイトではなく、キスを騙すために鳴らしたのかもしれないが。


 カイトは鈴を鳴らしてみる。すると、目の前の部屋から返事が返ってきた。


 彼が捕まっていた部屋と同じで、この部屋も防音ではないのだろう。


 だが、鈴だけが部屋に置かれている可能性も十分あるのだが。


「……メアリ様。その部屋にいるのですか?」


「その声はカイト……彼女が無事に連れて来てくれたようですね」


 カイトの言葉に、メアリは部屋の中から返事をする。彼の声もあるが、鈴の音が鳴ったのも本人と確認出来る方法ではある。


 とはいえ、メアリ自身がドアを開ける事はないようだ。


 メアリが言う『彼女』というのは零の事だろう。そこまで彼女を信用しているのだろう。


 十や三であれば、メアリの態度が変化していたかどうか。同じ混血という事もあるのかもしれないが。


「……本当にそうなんですか? 少し前……メアリ様は魔法で僕に話し掛けてましたか。声が同じで……貴女が偽者の可能性もあります」


 カイト自身、その声がメアリ本人で間違いないと判断している。頭の中に話し掛けてきた人物と同じ声ではあるが、偽者だと分かってしまう。


 だとしたら、その偽者は何なのか。


 零や館の主が会った死神だったとしても、カイトに協力する理由が見つからない。


 メアリ本人であれば、それを知っているのではないか。そのために、カイトも主であるメアリに敢えて嘘を吐いた。


 それに彼女はどう答えるか。偽者であると素直に答えるのか。逆に自身を疑うカイトを偽者だと判断するのか。


 いや、メアリもカイトと同じく間違える事はない。零も信じているのだとしたら、そうなる。


 キスがカイトに変身する理由がないのもある。メアリが裏切った事を彼女が知らなければよ話だ。


「……その声はカイトを罠に嵌めようとしたのですか?」


「……えっ? いえ……助言のような事を。十達が死んだを見せてくれました」


 メアリから思わぬ返事に戸惑うながら、カイトは答える。


 あの声は面白い物が見えるとばかりに、移動する方向を教えてきた。そのお陰で十の死や、三の死を早めに知る事が出来たのかもしれない。


 彼女がそういうのは、カイトに助言を与えた人物に心当たりがあるという事なのか。

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