カイトのような存在
「聞きたいのは私の目的だよね。今回じゃなくて、前のやつ」
零の目的。彼女も混血である事から、短命。館の主同様、延命を求めていてもおかしくない。
だが、擬似的世界に別の目的があるのなら、それも違う気がする。館の主のように、この世界でも求めるのではないだろうか。
「参加者全員を殺害する事かな。そして、それを誰にも知られない事。今に繋げる事が目的の一歩目。全体を通してだと、君みたいな存在になるためだね」
「僕みたいな?」
「違うの? 壱が言う死神になったわけじゃないわけ? ああ……私達とは別の試練? 考えてみたら、同時に進行してもおかしくないのかも」
『……なるほど。やはり、零は私を認識はしてない。君が死神の力を得たと思っているらしい。奴も詳しく説明をしてないようだが、私が手を貸している事は分かっているようだ』
カイトが死神の力を得て、別世界でメアリを生かそうとしていると、彼女は考えているのか。
『だが、そう思わせる何かがあったからこそ、零もそれを願ったのだろう』
「……願ったというのは、貴女のようになる事をですか?」
カイトのような存在。零は彼を死神と勘違いしているのなら、そういう事だろう。
彼自身、死神の事をそこまで知るわけではない。
零が求めるのは別世界の干渉か。それとも不老不死か。死神であれば、死ぬという事があるのかも分からない。
零が会った死神は彼女の前に特別な力を見せたのかもしれない。
『それは無理な話だ。私達に人間を死神にする力はないよ。現に私は彼女が死神になった姿を見ていない。零が現実でまだ生きているからでもない』
死神は零が自身と同じ存在になるのを否定した。
彼女と別の死神は彼女に嘘を吐き、利用したのか。単に零が勘違いしただけなのか。
カイトがこの場にやってきたのは、儀式に成功したため。それは間違いないのだろうが、零の目的は達成されずに終わったという事だ。
前の出来事が目的の過程だとしても、ここは死神が作った擬似的世界。
彼女が死神になれる要素はない。それを伝えたところで、零が信じるかは別の話だろう。
それにカイトを生かしたところで、謎解きが終われば擬似的世界は終了する。
彼を含めた登場人物達も消えていく。
それをさせない方法があるのか。あるとすれば、カイトに付く死神の采配次第になるのか。
零側の死神には無理だろう。




