再確認
『犯人の自供させる。それが君にとっての正解だ。それで彼女が死ぬ前に擬似的世界を終了する。その先の事は知らなくてもいい』
犯人が真相を話した時、擬似的世界は閉じる。その先の話はない。死の結末を見なくて済むだけの事なのかもしれないが。
「……それしかないんですね」
カイトは納得したようだ。死神もメアリを助ける事は意味がないと伝えているが、彼はそれでも助けるつもりだった。
『……結局は』
死神は何かを伝えようとしたが、言葉を閉ざした。彼の行動に口を出したが、決めるのはカイトだと言おうとしたのか、別の意味があったのか。
『先にメアリを助けに行くのだったな。そこからキスの生存を確認する流れで良いのか?』
「はい。メアリ様救出が最優先。キス様も生きていたら……」
キスが零、もしくは館の主と接触し、戦闘した場合、死ぬのは彼女になる可能性が高い。
零と館の主のどちらかが現実でも死んでいるのであれば、話は別だろう。
「魔法に回数制限がない事を知れたので、僕達が圧倒的に有利になりますし……彼女から話を聞けるはずです」
カイトはメアリとキス、魔法使い二人の力で、零から真相を聞くのを躊躇わないつもりだ。
零以外の従者、七、十、三は死んでいる。館の主がいたとしても、カイト達の方が力は上のはず。
もしくは、三や十が死んだ事により、カイトに再度協力を求めるか。
メアリは相手の手の内にある。キスを殺害に協力したとしても、彼女が死ぬ事には変わりない。協力は拒否すべきではある。
協力関係を結ぶため、零が真相を話したとしたらどうなるのか。信じる事が出来なければ、意味がない。
裏切った相手を簡単に信用するのは無理な話だ。
「まずは天井裏から外に出ます。下に行ける場所は見つけているので。問題はその部屋の扉が開いてるかどうかですが」
『……開いてる気はするな。鍵を奪ってない以上、天井裏に行かせたるのが目的であり、そこまではするだろう。状況が変化しても、戻す余裕があるかどうか』
カイトが閉じ込められた部屋から脱出した手段も、死神に伝えている。
やはり、カイトを閉じ込める際、普通なら持ち物を探り、逃げられないように鍵を奪うはず。
斧を取り上げていたのも、カイトが脱出してから、零達に攻撃させないためでもある。
天井裏へ身動き出来ないようにするのも、人数がいなくなれば、それはお互い様になる。
隙間がある箇所であるなら、無理に突き破る事も出来るかもしれない。天井裏に閉じ込めるのは厳しい。
「……着きました。天井裏の鍵は開いてるので大丈夫ですが……中までは確認出来てません。それと……十とディアナの死体が近くにあるので、覗き見る事も可能ですが」




