表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
449/491

最悪の結果

「最悪の結果ですか……僕自体が消滅するのは仕方ないです。けど、この場だけでもメアリ様を助ける事が出来るだけで満足」


 彼にとって、メアリを殺した相手を知れたら良い。そして、その相手を代わりに殺害出来れば十分満足出来る。


 それは死神も承知している。カイトはメアリを助ける事に固執していた。


『死ぬ結果は変わらないとして、キスを殺害するのが別人になるのなら、メアリを殺害する相手もそうなる』


 零と館の主を殺害したとしても、メアリが死ぬ事に変わりがないとすれば……


「……それは犯人以外、キス様も殺害しないと駄目に」


 メアリとキスは協力関係を続けているが、カイトが二人を殺害したら、どうなるのか。


 魔法継承の失敗。最初からそれがなかったとして、それをキスが信じるのか。


 彼女も命を狙われたからと、継承が嘘だとは断定していない。


 キスがカイトとメアリを殺す可能性もある。


 そうなるのなら、零達がキスを殺害するのを待つべきか。


 メアリを救出するためには、キスの力が必要になるかもしれないのだが。


『忘れてないか? 彼女も死ぬ事になっている。君が零や館の主、キスの殺害に成功したして、結果が変わらないとしたら』


「えっ? だとしたら……一体どういう事に……」


 死神がメアリを殺害する理由はない。擬似的世界を終わらせば済む話だ。


『私がメアリに手を出す……事はない。残っているじゃないか。彼女以外にもう一人』


「メアリ様以外に……儀式で呼び出そうとしてる相手にですか!? 結局は成功して」


『違う。君だ。君以外にいないだろう。君がメアリを殺す事になりかねないぞ』


「そんな事があるはずなんて!? ありえませんよ」


 カイトはそれを即座に否定する。自身が主を殺害するなんて想像もしてなかったのだろう。


 自身が消滅するよりも、メアリの生存を望む程だ。それも現実に変化がなくてもだ。


『結果的にそうなる可能性があるという事だ。もし、最終的にこの館から脱出出来るのは一人だけになったら、どうなる?』


「そんなの決まってます。僕が死ねば」


『それを彼女が許すのか? 君を助けるためだけに、危険を顧みずにここまで来たのだろ?』


 カイトがメアリを助けようとするのと同じ様に、メアリもカイトのために命を捨てる可能性は十分にある。


『君が先に自死を選んだとして、彼女がそれを追えば同じだぞ』


 メアリだけが生き残った場合、自殺するかもしれない。


 つまり、二人だけが生き残った時点で共倒れする事が予想される。


「それは……否定出来ないかもです」


 すでにメアリが死んでいると分かっていても、自分を追うために死なせるわけにもいかない。


 立場が逆だったとしても、カイトは同じ事をするだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ