繰り返し
「なるほど……待ってください。今流れてきてたという事は……今まで生きていたわけですか? 僕と同じくらいに」
カイトよりも後に死体が流れてきたのであれば、それまでのは生きていた事になるのではないか。
つまり、本来起きた事件後も従者達は生存していた。
ディアナやアルカイズの殺害方法を考えると、それは当然の結果になるのだが……
『死神の世界は時間が曖昧。君の世界と別世界の時間の流れが違うのもあるが……今回、君が思っていたのとは別だ』
死神の元に死体が流れてきた以上、彼女達が死んでいるのは間違いない。勿論、擬似的世界ではなく、カイトがいた世界での事。
『彼女達の死体は君が見ていた姿と変わりがない。勿論、十に関しては片腕ではなく、両腕が揃っていたわけだ』
十が片腕になったのは、キスが彼を捕らえようとした時、脱出するために自ら切断した。本来、起きる事はなかったわけだ。
『それに流れてくる魂は生前の何時の姿に変化可能であっても、肉体は違う。死んだ当時の体だ。つまり、事件時に死んだのだろう』
三達は命約によって身代わりになったわけでなく、ディアナ達殺害後に殺された。
それはこの事件の事を知られたくないためか。
彼女達が生き延びていれば、事件の内容が少しでも漏れる可能性はある。
「……そうだ!! 三と十の名前が分かったんです。そこから何か情報は得られませんか?」
セシルとダン。これが三と十の名前だとカイトは考えている。零と十の会話に出てきた名前だ。
『名前が分かったのか。だが、彼女達が死んでいる事は判明している。それ以上の情報は調べないぞ。犯人を見つけるのは君の役目だろ』
死神は記憶の本から、犯人が特定するのを禁止している。従者達が主殺害をしているのであれば、十達を最後に殺したのが黒幕となる。
それを解くのはカイトでなければならない。それだけでなく、犯人の自白を得る事も必要となる。
「そうでしたね。もし……キス様が犯人を殺してしまった場合はどうなるのですか?」
この状況では、零と館の主、キスとメアリが生き残っているのかも分からない。
キスが零や館の主を先に殺害していた場合、真相は闇の中になってしまう。
彼女がディアナ達の殺害した理由を追求したとしても、犯人の口からでなければ意味がないとすれば、カイトの魂は消滅してしまうのか。
『……それはないと思う。ここまで来ると、彼女も確実に死ぬが訪れるだろうな』
それは擬似的世界においても、最終的には現実と同じ結末を迎えるという事なのか。
キスが殺害されるだけでなく、メアリの死も確定しているのか。




