死神の考察
「それはアルカイズのイメージでしょ。青は夏の青空や海とも思うし、冬で暖を取るための火で、赤のイメージもあるから」
「色だけでは判断が難しいですね」
「ディアナ様。アレは如何でしょうか?」
ディアナが模索している中、十がある場所を指し示した。それは一回だけでなく、四回。
四つの色に区切られた壁の端に、額縁の中ではなく、壁自体に人の絵が小さく描かれている。それも赤ん坊、大人、老人、死。順で見ると人生を現してるような絵だと思わせる。
青=死、赤=老人、緑=赤ん坊、黄=大人。
「なるほど……あれが時間の流れを示しているのであれば、季節の色も分かりますね。試しにやってみましょう。勿論、ここは私が受け持ちます」
十がヒントらしき絵を見つけた事で、それを試すのはディアナ。とはいえ、行動に移すのは十になる。
「その前に……食事を先に終わらせた方がいいのでしたら、そちらを優先させますが? 先々の準備があるやもしれませんし」
ディアナは従者である零に気を使ったのもあるが、彼女の反応を窺ってる面もあるのかもしれない。
食事を優先させようとした場合、謎を解くにあたって、何かが起きる事は明白であり、大掛かりである可能性も出てくるのではないだろうか。
「ちょっと!! 気になるんだから、先に試してみるべきでしょ。失敗したら、朝食の後で再開すればいいわけだし」
キスは朝食よりも謎解きを優先させようとする。
「そうだな。ディアナの考えが正しいかどうか。私も気になるところだ」
アルカイズもディアナが謎解きを試すのを先にするよう促してくる。
『キスとアルカイズの二人が正解だと思ってる事に疑問に感じているようだな。季節の薬草、人で描かれた時間の経過、それを考慮をすると正解だと思ってしまうだろうな』
季節の薬草、薬木の花の絵が飾られているのは確か。それを季節ごとに並び替えるのも間違ってはいないだろう。時間の流れも人の絵がヒントになっている。
ディアナも人の絵を基準にして、絵を並び替えるつもりでいるはずだ。
ただし、死神はそれが正解ではないという口振りをしている。
「何かおかしいところでもあるんですか?」
カイトは頭ではなく、口から言葉が出てしまった。先程とは違い、会話も短いため、メアリ達周囲の人間、もとい時間はきちんと止まっている。
『君もむず痒いところがあると思ってるのだろ? 私は成功、失敗でいうならば、半々だと思っている。成功はするだろう。というのも、これは一つの謎ではないと、私は思っている』
「一つの謎ではない……ですか?」
『よく考えてみろ。時間の流れで四季が分かるのであれば、色は関係ない。アレはヒントではなく、答えになってないか。私であれば、もう一つ謎を隠すぞ』
そうなのだ。人の成長で時間を見るなら、色は全く関係しなくなる。色は惑わせるためのダミーにしては目立ち過ぎるのだ。
ダミーであるのなら、同じ箇所に答えを示す絵を書き込んでいるのも違和感が出てこないか。
それを考えると、食堂の謎は複数ある。複数ある一つの答えとしえ、ディアナの考えは間違ってはいないのかもしれない。