館の主
「あの死体が館の主なんて事は……魔法使いの人数は合うわけで……だけど……」
魔法使いはメアリ、キス、ディアナ、アルカイズの四人と考えていたが、館の主も魔法使いのはず。
ここまで魔法使いを殺害しながら、自身が殺される可能性もあるのではないだろうか。
三や七は魔法使いに恨みがあるようだった。十もそうだったとしても納得は出来る。
零に関しては不明。館の主に初めて仕えるのであって、メアリのように自由にさせていた節があるのだが。
「儀式を続ける理由は無くなるんじゃ……そんな話になったのは……」
儀式云々の話になったのは、メアリと肖像画が似ていた事。それと混血やらの話はメアリと零が話した事によってだ。
館の主自身から、そんな話は出ていない。
「本当にやろうとはしていた?」
零は館の主と命約を結んではいない。であれば、彼女を殺害は可能ではある。
それをメアリ達が来る前。継承権争いをする前に殺害する事は出来ただろう。
館の主はメアリ達に姿を見せない状態で、今まで来たのだから。
だが、首無し死体。三の偽装とした死体を発見した時、殺されてから時間がそこまで経過していなかった。
血が出ていた事がそれを物語っていた。
魔法使いがいたのなら、対処したかもしれないが、当人が殺されている。従者達にはどうしようもないはず。
つまり、館の主は継承権争いが始まってから、殺害された事になる。
館の主は寿命が短いと分かっていたとしても、儀式が終わるまでは死ぬつもりはなかったはず。
儀式のために自らの命を差し出すつもりだったのか。だとしても、その理由が見つからない。
自身の体を依代にするつもりだったのなら、首無し死体にはならないだろう。
「仲違いをした? 零達と館の主の目的が変わってしまった?」
零曰く、従者達と魔法使いの力関係、立場が逆転する時が来る。この継承争いがきっかけらしい。
確かに従者達が魔法使いを殺害に成功している。数も魔法使いよりも従者の方が多いのであれば、そうなるだろう。
であれば、零達はいずれは館の主も邪魔になると思ったのか。
「それとも……別に仕えるべき存在が出来たなんて事は……」
誰かが館の主がしようとしていた事を継続しようとしている。その儀式を横取りしようとした結果、殺害する形になったのか。
だとすれば、その人物は一人しかいなくなるのではないか。
今の時点で生きている可能性が高いのは、メアリ。
彼女は混血であり、館の主に似た部分が多い。
儀式の依代ではなす、黒幕になっている可能性はあるのか。




