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面白い物

 ディアナの死体でもない。あの死体が着ている服は白。アルカイズを示す白色なのだ。


 しかも、死体が着ているのは燕尾服。勿論、アルカイズの元従者である三ではない。


 彼女はキスと戦闘になったが、生存している事は零と十が話している。


 服装も変装のため、黒の燕尾服に着替えている。再度着替えたとしても、白を選ぶ事はないだろう。


「もしかして……消えたあの死体? だとしても、おかしな話になる」


 三に偽装された死体。それがこの部屋に運ばれた。


 彼女は侵入者ではなかった。侵入者は存在せず、魔法使いの従者達の仕業であったはず。


 館の主がメアリ達以外に魔法使いを呼んでいた。


 それもない。継承権争いにおいて、メアリ達しか魔法使いを呼んでいない。それは契約であり、魔法使いがそれを破る事はないようだ。


 零に侵入者の有無を聞いた時、メアリの感視の魔法には何の反応もなかった。


 魔法使いは四人しかいないはず。


 死体は魔法使いでなくて、良かったのか。


 であれば、危険を冒してまでキスを殺害しなくても問題はなかったはず。


 彼女の代わりに七の死体を使えばいいのだから。


 そもそも、あの死体が何者なのかも分かっていない。


 館の主の従者とカイトは予想したが、三はそれを否定しないまでも、意味深な言葉を残している。間違ってはいるが、答えに近かったのだろうか。


「この死体が使われているのなら、メアリ様が生きている可能性も……」


 カイトはその先の言葉を言わず、踏み留まる。


「……『面白い物』なんて言葉を使うのかな。あの声をこの死体を見せたかったと思うんだけど……他に何か怪しい物は」


 カイトは隙間から見える範囲で、死体以外に怪しい物がないかを調べる。当然、この辺りの天井裏もそうだ。


 だが、それらしき物、魔導具のような物も見当たらない。


「この死体を見て、安心……メアリ様が生きている希望は持てたわけで」


 面白いというより、安心出来た方がカイト的には強い。


「けど……あの声にそんな感じではなくて」


 メアリと同じ声。だが、メアリ本人であれば、自分の居場所を伝えるのではないだろうか。


 別人である可能性が高い。メアリの声を使用したのもあるが、今のカイトの状況の中、アレは本当に楽しんでいる感じの声だった。


「あの死体に別の意味があるはずなんだ。アレが本当に魔法使いだったら……!?」


 カイトはある事に気付いた。そう考えるのは間違いではないが、矛盾した……おかしな話になる。


 それ自体が謎の声にとっての面白い物になるのか。

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