謎の死体
「……二人の声、どちらも聞こえてこない。それでも、慎重に進んでいかないと」
カイトはアルカイズの死体を見た場所から捕まっていた部屋の天井裏まで引き返し、零達が向かった方向へ進む事に。
体勢は匍匐前進。時には耳を傾け、声が聴こえるかの確認をする。
一度囚われた部屋を見たが、変化はなし。零達はカイトが抜け出した事に気付いていないようだ。
気付いていれば、騒ぎが起こっていてもおかしくない。鍵の存在を知っていれば、天井裏に追いかけてくる事も考えられる。
カイトから鍵を奪ってない事を、片方しか知らなければの話になるが。知らないとすれば、十になる。
彼が一番最初に離脱する事になったのだから。
「謎の声はこの場所の事を言ってるはず……」
アルカイズの死体があった場所同様、明かりが天井裏に漏れてる箇所がある。
カイトがいた部屋のように、下へ降りる手段がないのも同じだ。
その漏れる光の隙間に、カイトは恐る恐る目を向ける。
間が悪く、タイミング良く、誰かと目が合わさる事もあるからだ。
「大丈夫……誰もいない。いや……アルカイズ様以外……誰かの死体が」
中を覗いて見ると、廊下ではなく、部屋で間違いない。
だとすれば、メアリ、キス、ディアナ、誰かの死体が、この部屋に置かれているのではないか。
だが、謎の声は面白い物だと言い残している。アルカイズの死体を見た直後で、彼女達の死体を面白い物と呼べるのか。
キスは先に零と十の会話で、殺害されたのを聞いている。
唯一、驚くとすれば、メアリの死体を確認した時ぐらいだろう。
「……えっ!? 一体どういう事なの。アルカイズ様の死体のように心臓部に何か突き刺されてはいるけど……」
アルカイズの死体が置かれいた部屋と違うのは、しっかりと部屋内が確認出来た事だろう。
そのせいもあって、死体の姿をちゃんと視認出来た。
その死体が一体誰なのか。
「アルカイズ様の死体にあんな事はされてなかった……だとしたら……」
この部屋にあった死体。その死体には頭が無かった。
メアリやキス殺害方法として、首を切られたのか。
零と十の会話からして、三が顔に相当の傷を負ったらしいが、首切断をするまで行けるのか。
死んだ後にしたとしても、アルカイズの死体は同じようにされてなかった。
だとすれば、メアリの死体なのか。
カイトの目からは違うとすぐに分かった。女性の死体ではあるが、体格が違う。
それとメアリやキスとは違うと判断する理由として、彼女達を示す服の色を付けてないのだ。




