魔法陣
「死体に何か施されてないか……あれは魔法陣? よく見えない……見えたとしても」
アルカイズの死体が置かれている箇所に、何かしらが描かれているようにも見えるが、ハッキリとは分からない。見えたとしても、その知識がカイトにはない。
メアリやキスがいれば、魔法陣であるかどうかの判別は出来ただろう。
「それに……死神が戻ってきた時に言わないと」
カイトは不思議とその魔法陣らしき物に見覚えがあるような気になってしまった。
メアリ関連ではない。それなら、カイトもすぐに分かる。
アルカイズの死体の心臓部分に槍らしき物が突き刺されている。それも儀式のための準備の一つかもしれない。
魔法使いの死体は丁重に自身の領地、館に戻さなければならない。
だが、それは魔法使い達が決めた事なのだろうが、誰のためなのか。
カイトはその理由を知らない。
ディアナ達は殺されただけでなく、死体までも利用されている状態だ。
実際、その死体が戻される事はなく、行方不明扱いになっている。
彼の元にメアリの遺体が届けられる事はなかった。
あんな状態なら、利用された後、焼却炉で処分されてもおかしくはない。
儀式をした事を知られたくなかったのであれば、尚更だろう。
「……よし。確認出来る事はしたはず。別の場所へ行かないと。明かりが差し込むんでいるところは、まだあるから」
天井裏は匍匐前進でなければ進めないところもあれば、四つん這いまで行ける高さもある。
動き難さはあるが、迷路のように複雑な構造にはなっていないのが救いだ。
とはいえ、見えている範囲ではそうなだけで、カイトを外へ出したような装置で、先に進めなくなっている可能性もありえる。
「アルカイズ様達の死体を儀式に使っているのなら、位置も重要になってるんじゃ……」
魔法陣等の事を考えると、死体はあそこから動かさず、固定しているはず。
それはディアナやキスの死体も別の場所で同じようにされているのではないか。
そして、死体それぞれの位置取りも重要になるのではないか。
「死体は四つ。位置も重要になるのなら、東西南北で設置しているとか?」
カイトが考えられるの位置取りとしては、東西南北ぐらいでしかない。死神がいたら、他の提案もしたのかもしれないが。
「端を見ると、ここは東? だとしたら」
右側がそこまで広がってないのは、ここが館の東側に位置するからだろう。だとすれば、残るのは北、南、西。真っ直ぐと斜線を位置する場所に行くべきか。
そこに部屋はあるはず。そして、下に降りれるか。もしくは、覗き込めるかが重要になってくる。




