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仕組まれた行動

「暗い……こういう時に……って、僕は頼り過ぎだったんだ」


 カイトは天井裏を匍匐前進の姿で進んでいく。通路に明かりは設置されておらず、隙間から漏れる光だけが頼りになっている。


 その漏れる光があるのは廊下ではなく、部屋だと踏んでいる。部分的な箇所が多いからだ。


「目だけでなく、耳が良ければ、零達の居場所も分かるかもしれないんだけど……」


 カイトは死神に頼らないつもりだったが、思わず弱音を吐いてしまった。


 当初、死神は彼にアドバイスするだけで、極力口を出さないはずだったが、時間の経過と共に死神の目や耳による手助けをしてくれるようになっていた。


 彼はそれにどれだけ助けられたか。侵入者達、十や三が襲ってきた時も、彼女が助けなければ、大怪我は間違いなかっただろう。下手すれば、死んでいたかもしれない。


「……着いた。やっぱり、何処かの部屋だ。さっきの部屋みたいに降りれるような装置はなさそうだけど……」


 音が鳴らないように気をつけながらも、光が漏れている場所に到着。


 下へ降りる事が出来る出入口は無さそうだ。先程の部屋みたいに、上へと続く道はなし。


 落とし穴に落下して、この部屋に滑り込む事は不可能という事だ。鍵穴らしき箇所も見当たらない。同じ鍵が使用可能なのかも分からないところだが。


「ちょっと待って……あれは……」


 この場所では下へ行く手段がないのであれば、すぐに離れるべきではあるのだが、予想外の物がカイトの目に入ってきた。


「予想でしかなかったけと……本当にやるのかも」


 その部屋にはアルカイズの死体が置いてあった。


 彼の死体はディアナの部屋に移動させたはずであり、ディアナの死体もなければならない。


 彼女の部屋であれば、薄暗くてもカイトの目でも気付く事は出来るだろう。


 ディアナの部屋の鍵は奪われ、死体がそれぞれ別の場所に移されたのには理由があるはず。


 となれば、何かしらの儀式が執行されようとしているのではないか。


 それともう一つ。ディアナの部屋の鍵を所持していたのはカイト。


 ディアナの死体を発見後、部屋の鍵はメアリが持つ事になり、彼が預かっていた。


 カイトも花瓶の魔導具にあった鍵に意識が向いていて、鍵の所持数まで考えが及ばなかった。


 その鍵だけを奪うのはおかしくないか。


 相手はカイトに逃げる手段を用意していた事になる。そのため、あの部屋に閉じ込めた可能性が生まれる。


 彼の今の行動自体、仕組まれているかもしれないわけだ。

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