謎解き
「ディアナ様、アルカイズ様、キス様。落ち着いてください。私達は先に継承の権利を誰が勝ち取るかが重要なはずです。その話は後に館の主本人に確認した方が確実です」
先程と違って、今度はメアリが三人を嗜める形に。六時に集合して、同時に謎解きを開始するはずが、一時間が経過しようとしている。
「……そうだな。話が脱線したが、まずは継承権を手に入れなければ意味がない。今すぐにでも謎解きを開始しよう」
「私とした事が……人の事は言えないわね。そこは謝るわ。謎解きをするにしても、まずはこの食堂からでしょ。最初ぐらいは全員で解くのも悪くないし」
「そうですね。私もメアリに謝っておきます。従者の件は貴女達には関係ない話でした。この場所の謎は一緒に解きましょう。ですが、何をどうすればいいか」
食堂が四つの色に区分けされているが、それだけ。ヒントはおろか、問題さえも提示されない。
「謎を解くにあたって、謎を示す問はないの。この食堂は見るからに怪しいでしょ」
キスは零に問い質す。謎が一つでも分かれば、傾向等が見えてくる事もある。
「謎に関しては何も答える事は出来ません。食堂を調べるのなら、先に朝食を済ませませんか? 春の薬草料理です。朝の胃には丁度良いと思いますよ」
零は朝食の準備が出来た事を報告するために、調理場から食堂へ来た。彼女的には朝食を先に済ませて欲しいところだろう。
「それです!! 食堂に飾っている絵は薬草、薬木です。それも季節ごとに二種類。それぞれが別々に飾られているのを、定められた位置に置くのではないですか?」
ディアナは零の薬草料理の言葉で、食堂に飾っている絵に注目した。
金木犀、牡丹、山女、黄連、水仙、朝顔、蜜柑、桔梗の花の絵だ。
『この世界にも季節はあるのか。この花々も知識としてはある。確かに季節によって、二種類あるな』
死神の知識から、花の名前もそうだが、どの季節に咲く薬草であるか分かるようだ。
「薬草!? 私はそっち系には興味無かったから、全然分からないわね。協力するのが、この場で助かったわ」
「ディアナ様。私も薬草の種類は把握しています。そうだとしたら、どの季節がどの色になるかです」
キスは薬草の知識はそれほどなさそうだ。
『なるほどな。それも君の病気を治療するためか』
逆にメアリは薬草の知識があり、それはカイトの病気の治療するため。その時、毒薬を使用する事は勿論なかった。
「青、赤、黄、緑か。これを四季に合わせるとなれば、青は冬のイメージではないか? 寒さも感じるとれるだろ?」
四色の中だと青が冬のイメージに当て嵌めやすい。ただ、他の三色は難しい。
赤は熱さ、暑さが感じ取り、夏のイメージもある。だが、紅葉という秋のイメージも窺える。
緑は生い茂る草木だとすれば、春夏のどちらか。
とはいえ、どれもイメージに過ぎず、重ね合わせようとすれば、其々が可能となってしまう。