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隠し通路

「零達がこの扉を開けるのを待つしかないのなら」


 零や十のどちらかが扉を開ける時には全てが終わっている。カイトが彼女達に無理にでも協力させる状況を作っている可能性もある。


 その時、メアリに何かあれば、彼女達に手を貸す事はない。この擬似的世界を終わらす時でもある。


 真相は分からずとも、犯人は分かっている。魔法使いの従者達だ。


 だが、彼女達から真相を直接聞かなければ、失敗扱いになる。これもカイトが擬似的世界だけでなく、存在自体が消滅する事になる。


「まだだ。部屋全体を調べたわけじゃない。死神の目がないのだから、見落としがあってもおかしくはないんだ」


 一番端の客室では何もない壁部分がスイッチになっている事があった。


 それも魔力に反応する物であったが、部屋の風景の中で些細な違いがあってもおかしくはない。そこに気付かなければならない。


「怪しいところは……いや、逆に怪しくないところを見るべきなのかも」


 床に置かれた小さな時計。それが目印のようになり、カイトの目は下に注意が行きがちになっていた。


「……他の部屋に比べて、天井が低い? 形も歪になってるんだ」


 他の部屋よりも狭いと感じたのは、その広さだけでなく、高さもあった。


 天井は低く、斜面になっているのだ。


 二階や一階にはなかった事を考えると、この階層は地下という可能性が高くなる。


 カイトは端の客室の仕掛けにより、外へ滑り落ちた。


 そういう通路が他もあり、地下へと続いているのなら、天井が斜面になっていてもおかしくない。


「あの小さな穴は……もしかして……」


 天井に小さな穴。それもベッドを台にすれば、届く位置にある。その形は鍵穴のようにも見える。


 カイトは自身のポケットの中身を確認してみる。


 カイトが装備していた斧は奪われた状態であるのなら、ポケットの中身も調べているはず。


 零であれば、カイトが使用されていない鍵を所持している事は知っているはずであり、抜き取っていてもおかしくない。


 脱出する術を全て消しておくべきだからだ。


「……あった。これを……」


 鍵は零達に奪われておらず、鍵は穴へ綺麗に差し込まれた。そして、新たな出入口……人が一人入れる程の大きさの穴が開いた。


 その内側には上へ昇る用の手摺りが存在していた。


「ここからなら、零達がこの部屋に入るまで、隠れながら移動出来るかもしれない」


 カイトは手摺りを使い、上を覗いてみる。


 上へ続く道もあるが、そこにハシゴや手摺りはなかった。だが、別の道は用意されていた。


 この階の天井裏を自由に……とまではいかないが、違う場所へは移動出来そうだ。

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