幕間 ー16ー
「それは三達がメアリの元従者……一番最初の主という可能性はないだろうか。もしくは、混血仲間だった事は」
メアリの従者はカイトだけ。その情報が間違っていたとしたら。
カイトがメアリの従者となってからは、彼のみなのは間違いないのだろう。
それ以前は? 三が先程メアリだけを様付けした理由にならないだろうか。
七に対してもそうだ。彼はカイトを嫌っている面があったようにも思える。
それはキスがカイトを評価する事による不満。魔法使いに対する恨みもあるのだろう。
それだけでなかったのなら? メアリが元主であり、カイトを可愛がる事に嫉妬していたというのはないか?
三もアルカイズ以前の主は酷いと言っていたが、前主の変わりように驚いたのもあるのかもしれない。
メアリもカイト以外の従者を心配したのも、元従者だったからではないだろうか。
感視の魔法についても、零達は知っていた。メアリ自身が嘘を吐いてもバレる事はない。魔力により、使用した事はキス達にも分かっている。
魔法の回数制限がある中で、嘘を吐くとは思わないだろう。まして、零達を庇うためなんて。
実際、零や三は感視による感情変化で、嘘を言っていない。言葉巧みにカイト達を騙しただけだ。
「アインズ。仕事の時間だぞ。魂だけでなく、器も一緒に流れできるのが多数ある。器が欲しいなら、早い物勝ちだぞ……と、またか。好奇心も程々にしておけよ。サボってると、それすら禁止されるからな」
アインズに声を掛けてきたのはツヴァイではなく、別の死神。
死神本来の仕事を無視していた事もあり、無断で図書館へと侵入してきたようだ。
「お前のところに流れ着く魂があるからって、それを数に含むなよ。ツヴァイは率先して、向かったからな。アイツも色々とやってるようだが……」
死神はアインズに話す隙を与えず、先々と口が回っていく。
彼女の図書館に訪れたのは一人ではなく、二人。サボるのを見越して、無理矢理仕事に連れて行くつもりなのか。
ツヴァイの名前を出したのも、彼女に対抗意識があると思っているのだろう。
「……はぁ……仕方ないか。本もまだ開く様子もない。さっさと終わらせよう」
アインズを重い腰を上げ、椅子から立つ。そして、死神達の方に顔を向ける。
二人は男と女の姿をしている。
死神に性別は存在しない。各々が好きな姿を取っている。とはいえ、最初の姿がどうなって決まったのかまでは分かっていない。
つまり、二人の姿はアインズとは全くの別人。
死神全員が同じ姿をしているわけではない。