幕間 ー15ー
「やはり、ピースが足りてなければ、予想に過ぎない。メアリ達の過去の情報を少し知れたが、従者達の情報もあれば……ないものねだりだな。その場での情報だけで楽しむのが醍醐味でもある」
メアリや零、館の主の素性、混血である事が分かったように、他の従者も事も深く分かれば、謎解きは楽になるだろう。
だが、従者達の記憶の本は見つからず、ディアナ達魔法使いの記憶の本を遡ったとしても、従者の扱いからして、彼等に関する情報はないのは見なくても分かる。
欠けているピースは館の主。未だに姿が分かっていない。
見つかれば、継承争いが終わるのだから、隠れているのは当然ではある。
ピアノ室の謎解きが何者かに解かれた事で老人の絵、館の主の肖像画が出てきており、それを零はゴールド=ゴールであると認めてはいた。
しかし、それは彼女の嘘だとアインズは捉えている。
老人がゴールド=ゴールには間違いはないのだろうが、現当主ではなく、旧当主。
初代ゴールド=ゴールの絵が飾られていたのだから、歴代のゴールド=ゴールの肖像画があってもおかしくはない。
根拠は現当主であるゴールド=ゴールが混血である事。
混血は短命であると、この世界では証明済。
魔法継承も館の主の死が近いからだとしても、老人である事はない。ディアナやアルカイズよりも年上であれば、短命とは呼べない。
「館の主は若い。流石にカイトよりかは上だろう。キス……メアリと同じ位ではないだろうか」
メアリと館の主は最初から魔法を使う事が出来ず、途中で目覚めた形だ。
二人がディアナ達と並ぶぐらいに魔法を使えるようになるとしても、数年、十年は必要なのではないか。混血が特別だとしてもだ。
「同じ……だけではなく、館の主がメアリである可能性はないか?」
メアリを依代にして、死神を呼び出すという話はどうなるのか。
自身に死神を宿すため。もしくは、死神にカイトの死を回避させるために……とも考えられはする。
アインズはカイトの目を通して、メアリの人となりを見たわけだが、最初から演技をしていたとすれば、話は違ってくる。
カイトが何も言わないのは、彼の前では変えている可能性もある。
むしろ、そのままでも問題ないのかもしれない。
館の主とメアリには共通する面が多い。
混血だからこそ、従者に優しく接しているという事。
零と命約を結ばず、ある程度自由にさせている。そこはカイトと同じ。
メアリに関しては、カイトは特別だとしても、他の従者にも優しく接していた。