二つ目の質問
「……メアリの事に関して、壱が嘘を吐くわけないわね。特別になるのは……いいわ。二つ目の質問をしてもいいわよ」
三はカイトへ次の質問をするよう促してきた。
彼女はメアリを様付けしたのを止めた。それに気付いて止めたのか、無意識で出た言葉だったのかは分からない。
『特別になるのは……か? 何か思い当たる事は?』
「ないです。メアリ様は戻ってくる事はなかったですし、引き取られてからも別段何も……呪いが特別という事もないはずです」
カイトは三が言う『特別』という言葉に見覚えがなかった。
呪いに関しては、メアリを庇った結果であり、特別という事はない。命約を切った理由、それだけだ。
その呪いによって、カイトは早死。死因は毒たが、根本的なのは呪いだ。
それにより、特別な事があったとするなら、この事件を避ける事になってしまった事か。もしくは……
「爺殺害に関しては確認するための質問で、予想はしてたわよね。次は私を驚かせるような物なのか、楽しみではあるわ」
三はカイトの考察、どのような質問をしてくるのかを楽しんでいるようだ。それだけの余裕があるという事。
『こちらから要求した事だが、時間稼ぎというのもあるのか。メアリに関してもそうだが、キスに対してもそうだ。別行動にされた事で、何かをするつもりのはず』
メアリが今は安全だとしても、助け出すためにはキスの力、魔法が必要になる。
単独行動になっている状態で魔法を使用している可能性もあるが、魔法、魔導具の知識も重要になってくるかもしれないのだ。
『深く考えなくていい。君の思った疑問をぶつけて構わない』
様々な事を考えると深みに嵌り、余計に時間を費やす。
死神は二つ目の質問を、カイトの自然と出る疑問に任せる事にした。
「二つ目の質問は……君に偽装された死体は何者だったのでしょうか? 侵入者は本当にいた……とは違うと思う。血の量、出血状態からしても、事前に用意されていた死体でもないはずです」
カイトが二つ目の質問に選んだのは三に偽装された死体が何者なのか。
三が館の主の元従者なのか。赤の侵入者の正体は十なのか。自身を花瓶の魔導具から助けたのは誰なのか。
様々な問題がある中で、その質問の重要性は高いのだろうか。
カイトと死神の考察では、カイトの代わりに用意されていた従者。
彼が来た事により、従者の役目が無くなってしまい、偽装死体になるしかなかった。
考える通りだったのなら、どう行動を取っていたのか。どのような人物だったのかを、カイトは興味が惹かれたようだ。
自分の代わりに選ばれたのは誰なのか。




